本専攻は、量子効果を直接利用する量子工学分野の研究・教育を総合的に行っています。電子やイオンなどの粒子、あるいは光などの量子ビームを用い、環境や生体に調和する新たな量子機能素材を創製・評価するとともに、将来のエレクトロニクスの基盤となるナノ構造の形成技術、単原子操作技術、原子レベルでの表面・界面観察・制御技術を研究しています。また、量子力学をはじめ、材料科学、光科学、電子デバイス工学を融合した新しい学問領域を形成し、次世代以降の超高速低消費電力量子集積デバイスの構築を目指した研究を行っています。
20世紀前半に見出された量子物理学は、私たちが生活しているマクロな世界とは異なり、ミクロな領域に閉じ込められた粒子が奇妙で特異な振舞いをすることを教えてくれました。ナノレベルの微小な物質で発現する量子効果を用いると、高速の演算素子、高感度のセンサー、大容量の記憶素子、高性能の触媒をはじめ、これまでにない物を作り出すことが可能です。それは世界が直面しているエネルギー問題や環境問題の解決にもつながります。あなたも量子効果を利用して私たちの生活に役立てる「夢」を実現しませんか?(教授・曽田一雄)
私は量子工学専攻の博士課程を卒業し、現在、企業の次世代モバイル端末開発部隊に所属しています。高機能端末の代表格であるスマートフォンは国内外で爆発的に普及していますがこれをハード面から支えるのが半導体工学です。量子工学専攻では、それを理論、実践の両面から学ぶことができました。どの業界においても同様と思いますが、製品開発の最前線には、時限爆弾(期限付き未解決課題)が山積しています。その解除方法は誰も教えてくれません。自らの頭で考え抜き、一定水準の解を導くしかありません。難題を解くための思考プロセスと、それをサポートするツールの使い方を自分の中に持つことが何より大切です。量子工学専攻では半導体工学の一連のプロセスを体得しながら、それを学ぶことができ、大変良い教室・教材であったと思います。(平成15年修了・川野陽一さん)
本専攻は、これまでに500余名の卒業生を社会へ送り出してきました。エレクトロニクス・材料関連の諸企業はもとより、自動車産業など、あらゆる産業界で広く活躍しています。
デンソー、トヨタ自動車、豊田自動織機、アイシンAW、日産自動車、富士通、三菱電機、富士フィルム、北海道電力、北陸電力、三菱重工業、大同特殊鋼、コマツ、JFE、JR東海、JR西日本、JR東日本、パナソニック、中部電力、電源開発、アスモ、日立電線、日立建機、村田製作所、シャープ、ブラザー工業、ヤマハ発動機、リコー、ルネサステクノロジ、旭化成、東レ、東芝、日本金属工業、本田技研工業