名古屋大学工学部 受験生応援スペシャルサイト

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「女子学生のための工学フォーラム」を開催​

「女子学生のための工学フォーラム」を開催​

2023年11月18日、工学部・工学研究科主催(公益財団法人日比科学技術振興財団共催)でテクノ・シンポジウム名大2023「女子学生のための工学フォーラム」をES総合館1階ESホールで、対面形式で実施しました。当日は親子揃っての参加者が多く、また、YouTubeにて当日の模様を期間限定で配信しました。​
メインテーマは「未来を拓く工学部女子学生」で、工学に興味をお持ちの女子高校生をメインに保護者・高校教師・予備校の方々を対象として、①女子学生が工学を選んだ理由は何か、②社会は工学女子学生(博士も含む)に何を期待しているのか、③工学部を卒業した女子学生にはどんな未来がまっているのかについて、講演、パネルディスカッション、座談会等で構成しました。当日は、尾上順副研究科長の司会・進行により、宮﨑誠一工学部長・工学研究科長の挨拶の後、工学研究科/未来材料・システム研究所 田川美穂教授から「女性支援施策・設備紹介」として、名古屋大学の学生が受けることができる学生支援(経済的支援、研究支援、キャリアパス支援)、女子学生のための支援プログラムなどを紹介しました。次いで、工学部OGによる「工学部出身女性のキャリアパスをテーマとしたパネルディスカッション」を行い、学部で学んだことがどのように活かされているか、他の理系学部ではなく工学部を選んだ理由は何かなど、現在の状況を背景としてご自身の経験から発言がありました。​ EI創発工学館の完成 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設
後半は、学生生活や就職、将来の話などについて、現役の女子学生4名(学部3年3名と博士後期課程1年1名)が登壇し、モデレーターの女性教員2名と、現在の生活を紹介することから始まり、就職へ向けての話、高校生の時や将来の話など、本音による座談会を行いました。その後、会場を出て、製図室・低温プラズマ科学研究センター・結晶成長情報工学研究グループの施設見学を実施しました。参加者は興味深く説明者に耳を傾けている様子があり、予定時間が延長となるほど大変盛り上がりました。​

学校推薦型選抜女子枠の拡大​

学校推薦型選抜女子枠の拡大​

電気電子情報工学科及びエネルギー理工学科に続き、化学生命工学科、機械・航空宇宙工学科でも新たに学校推薦型選抜女子枠を設置し、令和7年度入学者選抜(令和6年度実施)から実施します。​
学校推薦型選抜女子枠の拡大
▶パンフレット(PDF)

ナノテクでつくる未来材料​

ナノシートキャパシタのイメージ図

ナノテクでつくる未来材料​

▶応用物質化学専攻 長田 実 教授​

子供の積木細工のように、原子・分子のブロックを使って色々な材料や機能を作りたい。これはナノテクに携わる大人の夢です。長田実教授らは、数原子の厚さの2次元物質(ナノシート)を対象に、新しい電子デバイスや環境・エネルギー材料の開発を進めています。こうした一環として、高い蓄電性能を有するナノシートを発見し、ナノの積木細工により世界最高性能の誘電体キャパシタの開発に成功しました。このキャパシタは、たった数秒で充電でき、長寿命、高温安定性などの優れた特性を併せ持ちます。将来、このナノシートがスマホ、電子機器で活躍することを夢見て、ナノテクによる未来材料の開発を進めています。​
▶詳細(PCサイト)へ

物質科学専攻 生田 博志 教授 畑野 敬史 准教授​

鉄系超伝導体の薄膜成長の様子

鉄系超伝導体の高品位薄膜成長とその応用​​

▶物質科学専攻 生田 博志 教授 畑野 敬史 准教授

超伝導はリニア新幹線やMRI(核磁気共鳴画像)装置などの医療機器、あるいは量子コンピュータなどに活用され、社会を支える重要な材料となっています。しかし、使用には極低温への冷却が必要だという制約があり、より高温で動作する超伝導体が求められています。物質科学専攻電子機能材料研究グループでは、近年発見された鉄系超伝導体の薄膜成長に取り組み、その成長手法を世界に先駆けて確立しました。特に、超伝導転移温度が高いNdFeAsO系において、臨界電流密度が非常に高い高品位薄膜を実現しています。さらに、これらの薄膜を用いて様々な基礎物性の測定を行い、例えば応用上重要なパラメータである異方性の測定などを行ってきました。最近では、これらの薄膜を用いて単一光子の検出が可能な素子の開発にも取り組んでいます。これらの研究は、超伝導技術の進化とその応用範囲の拡大に貢献するものと期待されています。​

焼結型電池(定置用など) 非焼結型電池(車載用など)

高安全・長寿命な酸化物型固体電池の開発​

▶材料デザイン工学専攻 入山 恭寿 教授​

マテリアル工学科は、理論や先端計測をもとにマテリアルを設計する材料デザイン工学専攻、先端のプロセス技術をもとにマテリアルを作り出していく物質プロセス工学専攻、低炭素循環社会を実現していく化学システム工学専攻が密接に連携する学科です。材料デザイン工学専攻の入山恭寿教授は、次世代の酸化物固体電解質を用いた高安全・長寿命な酸化物型固体電池の開発に取り組んでいます(JST GteX 革新的GX技術創出事業)。具体的には、定置用等の中小型用途に向けた「焼結型」、車載用等の大型用途に向けた「非焼結型」、次世代に向けた「高エネルギー密度型」電池の開発を行っています。固体電池基礎・複合電解質・デバイス化の3グループが若手育成・学生交流などを行いながら強固に連携して研究を推進しています。多様な学術の融合と国際連携を通じた目的型基礎研究を行い、酸化物型固体電池の早期実用化への基礎基盤を確立します。​ 高エネルギー密度型電池

再結合に伴うスペクトルとその圧力
依存性 再結合に伴うスペクトルとその圧力
依存性

再結合に伴うスペクトルとその圧力依存性

プラズマを光らせて、冷やして、気体に戻す​

▶総合エネルギー工学専攻 岡本 敦 准教授​

フュージョンエネルギー実現に向け、核融合炉の周辺領域では温度1万度-100万度のプラズマを気体に戻すこと(再結合)が重要となっています。特にプラズマの密度が低く反応が起きにくい条件でも再結合させることが課題でした。当研究グループでは低密度のプラズマを再現性よく生成することに成功しました。これにより、従来よりも低密度のプラズマに対して単原子分子(原子)を衝突させることで、光の放射によりプラズマの温度を下げ、プラズマを気体に戻すことができることを、実験により初めて明らかにしました。​

可視光通信信号の移動受信の概要

可視光通信信号の移動受信の概要

世界初の可視光通信信号の移動受信に成功​

▶情報・通信工学専攻 山里 敬也 教授​

広く普及しているカメラにはローリングシャッタ方式イメージセンサが搭載されていますが、移動する車輌での可視光通信信号の受信は困難とされていました。山里敬也教授らは伝送方式と受信アルゴリズムを工夫することで、世界で初めて走行する車輌に搭載されたローリングシャッタ方式イメージセンサを用いて可視光通信信号の受信に成功しました。この成果は光無線分野のトップジャーナルであるIEEE Photonics Journal誌に掲載されました(doi:10.1109/JPHOT.2023.3287211)。​ テクノシンポジウム名大(2022)女子学生のための工学フォーラム

名大の振子と映像の岐大の振子が同じ動き!

名大の振子と映像の岐大の振子が同じ動き!

名大と岐大で同じ実験授業を一緒に実施​

▶航空宇宙工学専攻 原 進 教授 椿野 大輔 准教授​

次の感染症流行時に実験教育を維持できるように、遠隔地どうしをインターネットで結び、教員一名でも全体の安全を確保しながら一体的に実験授業が進められるシステムを当研究グループは開発しました。要となるのは複数のドローンや人工衛星を効率よく運用するために研究されてきた階層化最適制御技術です。2023年11月21日に50km離れた名古屋大学と岐阜大学を結んだ倒立振子(ほうき立て)制御の実験授業に初めて成功しました。両大学で110名が参加し、制御工学への関心が高まったなど好評で、新聞にも掲載されました。​
▶詳細(研究室サイト)へ

電力システムモデルの概要。

電力システムモデルの概要。
Shiraki et al. (2016) Journal of Cleaner Production

カーボンニュートラル社会を具体化する​

▶環境学研究科 都市環境学専攻/​工学部 環境土木・建築学科
 白木 裕斗 准教授​

わが国でも2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル;CN)を目指すことが宣言されました。CNを実現する社会では、どのような技術が用いられ、どのような生活が営まれているのでしょうか?都市環境学専攻の白木研究室では、数理モデルを用いたシミュレーション分析により、電力システムのCN化にはどの程度の再生可能エネルギーが必要か、自治体単位でCNを実現するにはどのような技術や行動変容が必要か、などを定量的に推計しています。​

第25回まちとすまいの集い「まちづくりとひとづくり パート2―名大建築60年」

第25回まちとすまいの集い「まちづくりとひとづくり Part 2―名大建築60年」

第25回まちとすまいの集い​
「まちづくりとひとづくり パート2―名大建築60年」​

▶環境学研究科 都市環境学専攻/工学部 環境土木・建築学科
 小松 尚 教授​

1999年秋から名大「まちとすまい」の夕べとして開始した一般市民向けの公開講座は、時流に合った話題を紡ぎ出しながら継続され、建築学科創設60周年となる2023年は、第25回まちとすまいの集い「まちづくりとひとづくりPart 2-名大建築60年」と題して、11月4日にフィールドセミナーと講演座談会が開催されました。講演座談会では、名大建築で学んだ卒業生が、社会の第一線で活躍する姿や今までに携わった建築作品・街並み等を紹介することで、会場の野依記念学術交流館に集まり、またオンラインで参加した多くの方に名大建築の魅力を伝えました。​

学び
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Message

工学部長・工学研究科長
小橋 眞

「工学」は、科学を人や社会に役立つ技術へと展開する総合的な学問分野です。その対象は、化学、物理、材料、電気、機械、エネルギー、建築、土木など多岐にわたっています。
産業革命以降、機械化と共にものづくりはめざましい進展を遂げ、それにともなって人々の生活も大きく様変わりしました。一方、現在に至るまでに地球環境問題や化石燃料や資源の大量消費と枯渇などの問題もクローズアップされています。また、工学の担う範囲は、従来の分野だけでなく、医療や創薬、エネルギーや環境、あるいは防災など、大きく広がってきています。最近では、人工知能の急速な高度化が、近い将来、人々の生活や社会構造を大きく変えようともしています。
このような情勢の中で、より高いレベルで「工学」を修め、世界のものづくりのリーダーとして皆さんに活躍していただきたいと願っています。
名古屋大学は門のない開かれたキャンパスが特徴です。緑あふれるキャンパスで、私たちと共に「工学」を学び、直面する課題に果敢に挑戦し、工学分野で「勇気ある知識人」として、赤﨑先生や天野先生に続きましょう。
すばらしい研究成果を皆さんと共に世界に向けて発信できることを楽しみにしています。

ノーベル賞受賞者を生み出した自由闊達な学風の下で実施する
Basics ‒ Specialization - Innovation 教育

より良い工学系人材・勇気ある知識人の育成

世界を代表するものづくり産業の集積地である中部地区の中心的研究大学として、より良い工学系人材育成の期待に応えるため、工学基礎教育を重視すると共に、専門性と総合性を備えた人材育成を目的とした教育組織とカリキュラムを再編成し、学部及び大学院を一体で2017年に改組しました。
グローバリゼーションが加速する国際情勢、新しい価値創造や技術革新をもたらす人材育成の急務化、年齢分布が逆ピラミッド型に変わってゆく状況における社会的なニーズなどの工学分野をめぐる情勢に対応します。
理工系人材育成の必要性を踏まえ、工学全般の分野を網羅した学科・専攻とし、博士人材の育成に繋げます。
育成する人材像(教育目標)

工学部

工学を拓くための学力および資質・能力を備え、
科学に対する強い興味をもとに社会に貢献する人を育てます。

大学院工学研究科

次世代の「工学・技術」を創造・牽引する能力を有し、
(豊かな)専門性と同時に(高度な)総合性と、
(広い)国際的な視野を併せもった、研究者・技術者を育てます。
※( )は、後期課程に付加

学科紹介

化学生命工学科
物理工学科
マテリアル工学科
電気電子情報工学科
機械・航空宇宙工学科
エネルギー理工学科
環境土木・建築学科

卒業生からのメッセージ

 

山野 雄平さん

山野 雄平さん

東北大学 多元物質科学研究所​
特任研究員/日本学術振興会特別研究員PD

思いがけず核酸化学の道へ。研究の“いろは”から学んだ5年間。​

もともと他大学の教育学部に在籍していた私は、学部生時代は研究とは縁もゆかりもない生活をしていました。そんなある日、名古屋大学大学院工学研究科の先生が出張で授業をされるという話を耳にし、「面白そうだから聞きにいこう!」と軽いノリで受講しました。この授業で、思いがけず化学の世界に魅了されたことが、研究者の道に足を踏み入れる一つのきっかけとなりました。名大に進学することを決めた私は、教育実習と並行して院試勉強を行うことで、大学院試験の合格ラインに滑り込みました。研究室では、材料や医薬品など多分野への応用が期待される人工核酸を扱い、その性質や機能を光で制御する研究に取り組みました。所属当初は研究の“いろは”も分からない状態でしたが、研究室の先生方が時に厳しく(まれに優しく)そして何より根気よくサポートしてくださったおかげで、在学中には面白い結果を数多く得ることができました。研究室メンバーとのディスカッションもとても楽しかったです。名大での5年間はあっという間でしたが、得た経験や出会いは何ものにも代えがたい財産だと思っています。国際学会で東北大学の先生方とお話したことなどがご縁で、今は遠くみちのくの地に移り、個性豊かな学生さんたちと核酸化学系の研究を楽しく続けています。皆さんも、人との出会いを大切にして、是非色々なことにチャレンジしてみてください。面白い未来は意外なところに転がっているかもしれません!​

山野 雄平さん 山野 雄平さん
2019年光化学討論会(名大・豊田講堂)で優秀学生発表賞を受賞した時の一枚です。​


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壱橋 里紗さん

壱橋 里紗さん

AGC株式会社 オートモーティブカンパニー車載ガラス事業部​
技術統括部 新商品開発グループ​

試行錯誤を繰り返した日々が、異なる分野の仕事にもつながる。​

在学中に出会った人や経験は私の人生の糧となっています。研究室では人体に有害な一酸化炭素を無害な二酸化炭素に変換する新規触媒の研究をしていました。結果が思うように出ず、辛い時もありましたが学部の友人たちや研究室の同僚に支えられ、乗り越えることができました。試行錯誤しながら解析を行い、毎日先生と議論を繰り返し、一つ一つ疑問を解決していく瞬間は非常に楽しかったことを今でも鮮明に覚えています。また在学中には1カ月間の海外ひとり旅に挑戦。この経験が人見知りだった自分を、ためらうことなく人に話しかけられるまでに成長させてくれました。今の会社では車載用のカバーガラスの開発を行っています。人々の重要な移動手段である車の安全性とデザインの両面で支えられることに魅力を感じ入社しました。在学中の研究とは異なり、開発が上手くいけば実際の車にすぐ採用される可能性があるという違いに驚いています。大学の専門とは異なる分野で日々勉強ですが、在学中に培った「周りの人と議論する力」や「試行錯誤し、忍耐強く進めていく力」は今の仕事でも活きています。在学中に出会った人たちや経験は私の人生においてかけがえのない宝物です。みなさんも名大で多くの人と出会い、学び、人生を豊かにしていってください。​

壱橋 里紗さん 壱橋 里紗さん
吹奏楽団での定期演奏会のワンシーン。私はチューバを吹いています。​


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野村 優貴さん

野村 優貴さん

一般財団法人ファインセラミックスセンター
ナノ構造研究所 上級研究員

高度な知識と技術に加え、人との交流があなたの強みに。

私は名古屋大学で9年間学び、さまざまな経験を積んできました。学生時代、サッカーサークルに所属し、素晴らしい友達との出会いを通して楽しい時間を過ごしました。それらの経験は、今でも大切な思い出として心に残っています。学部4年次と大学院2年間は透過電子顕微鏡の研究室で半導体の解析に専念しました。子供の頃から細かいことや小さいものを触るのが好きだった私にとって、ミクロな世界での研究は楽しく充実したものでした。高校生時代、自分は不真面目で、勉強や研究が好きだという自覚は全くなかったのですが、名古屋大学での勉学・生活を通じてその楽しさを実感することができました。修士課程を修了後、私は民間企業の研究所に約10年間勤務しました。大学とは異なり、商品化という大きな目標を持つ組織での研究は、新たな楽しさややりがいを感じることができました。企業に在籍中、名古屋大学の社会人博士課程で学位も取得しました。現在はファインセラミックスセンターという電子顕微鏡を用いた材料解析の仕事に従事しています。この記事を読んでくださっている高校生の皆さんには、名古屋大学での充実した学びや出会いを通じて、自分の夢や目標に向かって進む力を身につけてほしいと願っています。名古屋大学では、さまざまな分野の専門知識や技術を学ぶことができるだけでなく、多様な学生同士の交流を通じて貴重な人間関係を築くことができます。これらの経験は、皆さんにとって大きな強みとなることでしょう。皆さんも大学で経験を積み、自分の夢をかなえるための一歩を踏み出してください。

野村 優貴さん 野村 優貴さん
大学の夏休みに自転車で北海道を縦断したときの写真です。


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水野りらさん

水野りらさん

株式会社デンソー
センシングシステム技術1部 技術職

大学で学んだ、自分で手を動かすことの大切さを日々実感。

研究室では、透過型電子顕微鏡とレーザー光学系を用いて、金ナノ粒子に光を入射させたときの過渡応答を研究しました。この研究では、評価以前の環境構築が労力の大半を占めており、修論提出期限までに環境構築が間に合うのか……と不安だらけの毎日でした。やっとの思いで環境構築を完成させ、最初の評価で結果を出せたときの安堵感は、今もはっきりと覚えています。この体験で身につけた、根気強く物事に取り組み考え抜く態度は、今も生きていると感じます。現在の担当業務は、電動自動車向けセンサの耐ノイズ設計。自動車部品は、テレビ・ラジオ放送の送信アンテナや車内の携帯電話といった外部ノイズの影響を受け、誤動作や故障する危険性を持っています。運転中の誤動作は、生命に関わる事故に直結するため、耐ノイズ性能は、自動車の安全性に関わる重要な要素として、やりがいを持って取り組んでいます。大学で指導された「自分で手を動かす」という考え方は今も大切にしています。例えば、シミュレーションに加えて実機評価も自分で行うことで、見落とされがちな事実を発見できることがあります。研究室の先生から教わった仕事に取り組む考え方の大切さを実感する毎日です。今後も現在の業務を深掘りして専門性を高めることで、より性能が優れ製造しやすいセンサの開発をめざします。

水野りらさん水野りらさん
大学のよさこいサークルに所属。大勢で協力してひとつの演目を作り上げる、貴重な経験ができました。


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鈴木 飛鳥さん

鈴木 飛鳥さん

東海国立大学機構名古屋大学
大学院工学研究科
物質プロセス工学専攻 助教

「大学の研究者」を選ぶ決心と、選んだその先。

「大学の研究者」の道を視野に入れ始めたのは、4年生のときの卒業研究がきっかけでした。水素のみを透過する金属の膜に関する研究だったのですが、その特性を記述する方程式として従来とは異なる式を使うと、綺麗に結果を整理できることに気づいたのです。これによってアカデミックなことを突き詰める楽しさを覚えました。とはいえ、昨今ではほとんどの学生が進学しない博士課程に進む際は、将来的な不安から非常に悩みました。しかし、就職活動で大学での研究以上に自分の興味を引くものがなかったことから、進学を決心しました。運よく論文を出しやすい分野だったこともあり、博士号を1.5年ほど短縮で取得することができて、今のポストを得ることができました。
現在は学生の頃とは異なる研究分野で、研究者としての見聞を広げつつ自分の分野を確立しようとしています。主に、機械学習などを活用して、材料を作るための複雑なプロセスの最適化や複雑な構造を持つ材料の特性予測に取り組んでいます。大学は、世の中の技術の基盤となる学理を探求できる場であり、常に新しいことに触れていられるので、今はこの道に進んで良かったと思っています。ぜひ皆さんも周囲に流されずに自分の意志で興味ある道へチャレンジしてください!

鈴木 飛鳥さん鈴木 飛鳥さん


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村松 美穂さん

村松 美穂さん

株式会社エドギフト代表取締役兼
株式会社リクルート

「幼少期からものを生み出す楽しさを」在学中に会社を設立。

とことんものづくりがしたい、そんな想いで選んだ工学部。学部時代はロケットサークルに所属してロケット開発に没頭し、4年次からは鉄に関する研究室に所属していました。また同時に、新しいものを創る楽しさをたくさんの人に届けたいと思い修士2年の時に株式会社エドギフトという教育系の会社を立ち上げました。エドギフトでは、「幼少期から新しいモノを生み出す楽しさに触れてほしい」という想いで子供向けの組み立ておもちゃTEGUMII(テグミー)の開発販売を行なっています。
修了後は、エドギフトを続けるとともに、株式会社リクルートでサービス開発に関わる仕事をしており、兼業の体制をとっています。大きな組織に所属することで得られる経験や出会いがたくさんあり刺激的な毎日を送っています。どちらの会社の仕事も大学の研究分野とは異なりますが、現在の私の挑戦の糧となっているのはサークルや研究を通して「失敗しながらも試行錯誤を繰り返す、新しいことに触れて考え抜くことで新たな発想につながる」楽しさを学んだことです。目の前のことに熱中し楽しむことで、それまでの自分では考えられなかった世界が広がりました。大学は学業だけではない面白いことがたくさんあります。ぜひ多くの人との出会いや経験を楽しんでください!

村松 美穂さん村松 美穂さん


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鈴木 陽香さん

鈴木 陽香さん

名古屋大学 大学院工学研究科
電子工学専攻 講師

不可能を可能に。そして現実の製品に。それが工学研究の喜び。

好きな物理を社会に役立てたいと選んだ工学部。音楽系サークルの活動や家庭教師のアルバイトに挑戦し、選択科目の講義はまず一とおり受けてみて興味に合ったものを受講するなど、大学内外のいろいろなことに目を向ける中で夢中になったのは、プラズマの研究でした。学部~修士時代の研究テーマは、不安定要素の多い液体表面とプラズマとの反応の解明。めざした成果には到達できませんでしたが、前例のない研究は意欲をかき立て、国内の学会での発表やイギリスへの交換留学も経験して視野を広げることができました。

修了後は就職も考えましたが、それ以上に強かったのは、研究を続け成果を出したいという思い。博士課程以降は、高密度のプラズマを均一に広範囲で照射できる大気圧プラズマ装置の開発に取り組んでいます。もともと私がプラズマに惹かれた大きな理由は、応用のために電気や化学・機械・物性の幅広い知識を駆使する点。まさにそれができる研究で、独自の装置を開発し、企業と共同で数年後の半導体製造現場などでの実用化をめざしています。学部時代に進路指導の先生から、その自由度や女性研究者への期待を聞いて惹かれた研究の道で、不可能を可能に変え製品として現実の形にできる、工学研究の喜びを味わっています。

鈴木 陽香さん鈴木 陽香さん


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今井 瞳さん

今井 瞳さん

ヤフー株式会社
電力ネットワークカンパニー
広告プロダクション本部 デザイナー

どんな知識や経験も、考え方ひとつで自分の強みに変えられる。

子供の頃からインターネットが好きで、プログラミングにも少し興味があったので、電気電子・情報工学科、そして計算理工学専攻を選択しました。講義を受けるまではHTMLを少し触ったことがある程度でプログラムを組むことは全くできませんでしたが、課題をこなしたり、周りのメンバーに教えてもらったりしながらコードが書けるようになり、さらに研究室ではプログラミングでデータを分析して、どう活かすかを考える力が身につきました。研究室ではエンジニアになる方がほとんどでしたが、絵を描くのが好きだったこともあり、見せ方の部分にも携われる仕事がしたいと思い、デザイナーを選択しました。Illustratorも使ったことのないままデザイナーとして働けるのかという不安はありましたが、研修中にツールの基礎を学び、今ではレビューも行えるようになりました。また、Webページの制作では、数値を根拠に構成を考えることも多いため、データ分析ができるデザイナーというのは強みになったなと感じています。どんな経験や知識も、考え方次第で活かせるものに変わると思います。やって損ということはあまりないので、興味のあることにはどんどんチャレンジしてみてください!

今井 瞳
ソフトボール部の大会での写真です。今も社会人チームで続けています。


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趙 雨晴さん

趙 雨晴さん

名古屋大学大学院工学研究科​
機械システム工学 助教

人の反応の法則性を解明し、安全につながる運転支援技術を。​

中学生の頃から自動車に興味を持ち、将来は自動車関連の職に就くことを夢見ていました。大学では自動車工学を専攻し、さらに世界に通用する知識を得るために、留学を決意しました。日本の自動車産業は競争力が高く、名古屋大学は自動車工学の分野で高い研究力を持っているため、名古屋大学を選択しました。修士・博士課程の5年間の在学中に数多くのプロジェクトに参加し、国内外の学会に発表しました。研究室の学術的雰囲気と互いを尊重し合う仲間が、研究への情熱を支えてくれました。現在は自動車の安全に関する研究に取り組んでいます。事故に至るような緊急シナリオにおけるドライバや自転車、歩行者などの反応や行動を明らかにし、事故要因を解明して事故防止に効果的な運転支援を実現することを目指しています。人の反応が法則を持っていることに驚かされることもしばしばです。研究結果を事故の減少につなげ、一人でも多くの交通事故被害者を助けられたらと考えています。研究を重ねる中で、自身の夢がより国際的にも分野的にも広い世界へと繋がることを実感しています。さらに、夢を追い求め、今後も研究を通して自動車の安全に貢献することを願っています。​


2018年名古屋大学自動車工学サマープログラム(NUSIP)に参加し、海外の学生と交流を楽しみました。​


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堀部 貴雅さん

堀部 貴雅さん

株式会社ティアフォー
技術開発本部

ライバルは大企業。ベンチャー企業で世界の最前線へ。

漠然と宇宙の勉強がしたいと選んだ機械航空工学科。振り返れば、宇宙開発サークルの立ち上げ、アメリカへの研究留学など、多くの経験をしました。
数学が機械の動きに直結する面白さに魅了され、研究室は制御研を選択。最初のテーマは「倒立振子」と呼ばれるロケットに見立てた一本の棒を制御することでした。しかし当初の実験は失敗の連続。理論的には合っているはず…と暗い顔で机上の数式を見つめる私に、同期から「今から一緒に100回実験するぞ」と提案され、なんとその日に実験は成功。結果を解析すると、気にも留めていなかったセンサーに問題があったことが発覚。なるほど、こういう研究の進め方もあるのか、と自分の考え方が変わった瞬間でした。名大の生活はこのような「自分の知らない世界を見せてくれる人たちとの出会い」との連続でした。
現在はベンチャー企業で自動運転の開発を行っています。複雑な道路環境でどのように車両を制御するか。自動運転は様々な技術の集約であり、制御理論や数理最適化、機械学習、ソフトウェア工学などと言った幅広い分野の知識が必要となります。数式やプログラムと対峙する一方で、困ったらとりあえず実験してみることも。ライバルはGoogleやTeslaといった大企業。技術者として世界の最前線で戦うことができる環境を楽しんでいます。

堀部 貴雅さん 堀部 貴雅さん


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多田 健一さん

多田 健一さん

(国研)日本原子力研究開発機構
原子力基礎工学研究センター
炉物理標準コード研究グループ
研究副主幹

自分の直感を信じてやりたいことをトコトン追及!

名大を選んだ動機は『核融合炉開発に携わりたい』でした。講義を聞くうちに核分裂に興味が移り、『原子炉の中を見てみたい』という興味から研究室を選びました。

就職か博士課程進学かは悩みましたが、『今の研究が面白いので突き詰めたい』という真面目な思いと、『スイスで開催される国際会議に出たい』という俗物的な思いから進学を決めました。このように私は今まで自分の直感を信じて進路を選んできました。福島第一原子力発電所事故など、自分の価値観が揺らぐこともありましたが、『原子力は日本のエネルギー源として重要』という信念を胸に研究開発を進めています。

私は現在、基礎的な物性データである核データ評価と、被ばく量評価や原子炉設計等の解析コードを繋ぐ核データ処理の高度化に取り組んでいます。世界的にもこの分野の研究者は少なく、日本では私一人です。最初は専門外で戸惑うことも多かったのですが、大学で学んだ『面白そうなこと』を見つけてトコトン追及するという教えが、今の研究を支えてくれています。幸いにも名大には学生のやりたいにトコトン付き合ってくれる先生が大勢います。是非とも自分の直感を信じて、自分の道を突き進んでください!!

多田 健一さん多田 健一さん


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福井 悠平さん

福井 悠平さん

中部電力株式会社​
本店原子力本部原子力部安全技術グループ​

工学を通じて原子力の安全性を追求。

学生時代に発生した東日本大震災を契機に、私は原子力分野に興味を持ち、原子力施設の安全性向上、原子力施設の安全規制、核融合発電の開発などに関わりたいと考えました。進学先を考える時期に、私の学びたい学術分野が詰まった「エネルギー理工学科」が新設されることを知り名古屋大学を選びました。名大に入学してからは、原子炉で発生する中性子の挙動を計算する「原子炉物理学」に興味を持ちました。第4学年への進級時には原子炉物理学を担当する教授の研究室に進み、原子炉の数値計算を高精度化する手法の開発に取り組みました。大学院では研究だけでなく人材育成プログラムが充実しており、実機原子炉での実験や炉心設計・事故解析などに関する貴重な経験を得ることができました。現在は原子力発電所で重大事故等が発生した場合の安全対策を検討し、その対策の有効性を規制機関に説明する仕事をしています。定量的に安全性を示すには、原子核レベルのミクロな視点から、気象レベルのマクロな視点にわたる幅広い工学の知識が必要となるため、名大で学んだ知識や経験を存分に活かしています。この先も安全を確保していくためには、一人でも多くの優秀な技術者が必要です。名大に入って「勇気ある知識人」として成長した皆さんと、同じ業界で一緒に働けることを楽しみにしています。​

内村 星央さん 内村 星央さん
在学時は山歩きサークルに所属し、今も学生時代の友人と山歩きしています。​


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吉川 高広さん

吉川 高広さん

岐阜大学
工学部社会基盤工学科 准教授

自然を相手にする面白さと難しさに満ちた土木工学の世界。

私が小学生のときに京都議定書が採択されるなど地球温暖化問題が大きく取り上げられ始めました。当初は環境問題に取り組みたいと考えて、名古屋大学工学部社会環境工学科(現:環境土木・建築学科)に入学しました。学部2年次に社会資本工学コース(現:環境土木工学プログラム)を選択後は、基礎を重んじる名大土木の講義のおかげで、構造・水工・地盤・計画・環境系と多岐にわたる土木工学のどの分野にも興味を持ち始めました。学部4年次に地盤系の研究室に入り、博士後期課程を経て、現在に至ります。土木工学の中には皆さんの興味を引く分野があると思います。私のように興味の幅が広がるかもしれません。自然を相手にする面白さ・難しさがあり、研究してもしきれないと感じる毎日です。現在は、降雨時の自然斜面や盛土の崩壊に関する研究に取り組み、熱海土石流災害における盛土の崩壊メカニズム解明の一端を担いました。直接的に社会に貢献するため、大きなやりがいを感じるとともに、災害時には無力さを痛感することも多いです。当初は興味がなかったことでも、いざ真剣に取り組んでみると面白かった、ということはあると思います。勉学、部活動・サークル活動など、さまざまなことに一生懸命取り組んで、自分の世界を広げていってください。

吉川 高広さん吉川 高広さん
修士課程2年生のときの研究室の集合写真。大所帯のためゼミや懇親会はいつも大盛り上がり。私はノリが学生です!


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李 燕さん

李 燕さん

名古屋大学
大学院工学研究科 講師

設計や研究活動を通じて、自分の可能性に挑み続ける。

小さいときから積み木やダンボールで建物の模型をつくるのが好きだったので、中国の大学で建築学を専攻し、建築設計を学びました。学部の近代建築史の授業をきっかけに、丹下健三や谷口吉生、安藤忠雄などの日本建築家に憧れ、日本に留学することを決めました。学部のとき、設計で最も重視したことは見た目の格好いい建築を作ることでした。しかし、来日してさまざまな建築と場所を訪れる中、「人」を中心とした空間の在り方を考えるようになり、物理的な形態だけではなく、人々の豊な暮らしを支える建築を作りたいと思いました。その思いをもって、卒業後は組織設計事務所に就職し、住宅や商業施設、公共建築などの幅広い設計業務に関わり、図面上でラインを引く段階からそれを物理的に実現させる全過程を経験しました。一方で、設計者として、各プロジェクトに求められる物理的な建築物を実現するだけではなく、建物の使われ方や提供プログラムまで踏み込んだ提案もしたいと思いました。つまり、「どのように」ではなく、「何のための」建築を作るかを提案したいと思い、今は大学の研究者として公共建築の再編について研究しています。設計や研究活動など、一つに限られることなく、これからも自分の可能性に挑みながら、より良い建築を提案して行きます。

李 燕さん李 燕さん
ロンドンで住民が運営する図書館を視察しました。


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