わたしの6年間
アインシュタインの法則を覆す現象。
恵まれた環境の中、その原因に迫る。
草田 慧
増渕研究室(物質科学専攻)所属
学部1~3年次/目に見える現象を数式で説明できる物理の原理が、身近なエアコンなどにも利用されていることに興味を持ち、工学部で深く学ぶことにしました。最初に関心を持っていたのは、半導体や超伝導、太陽電池といった先端デバイスの技術。ところが「量子力学」や「物性物理学」など専門科目の講義を受ける中で、それらの分野を世界中で多くの人が研究していると知ると、興味が薄れてしまった。そして「ちょっと変わったことを研究したい」という気持ちが強くなっていきました。

粘度測定するサンプル中のナノ粒子は、化学系の研究室で有機合成の手法を学んで自作。多彩な実験手法を習得できました。

学部時代は、夏休みに友人たちとクロスバイクで遠出。猛暑の後、大雨に濡れ知多の海に到着したときは最高の気分でした。
学部4年次〜大学院/選んだのはドロドロ・グニャグニャの物体“ソフトマテリアル”を扱う研究室です。研究テーマは、ナノ粒子を分散させた高分子のダイナミクス。通常、高分子に粒子を混ぜると、“アインシュタインの粘度則”に従い、粘度が上がります。ところがナノ粒子を混ぜると、粘度が下がるのです。そのメカニズムの解明に、物性の測定や有機物合成、シミュレーションなどの手法を駆使して挑んでいます。資金も潤沢な名大の研究室だからこそ、高性能な装置を使った実験ができ、国際学会参加や中国の大学で実験手法を学ぶ機会も与えてもらえました。この経験を活かし、内定先でもソフトマテリアルを相手に、未知のメカニズムを解析して、新たなモノづくりに貢献したいと思っています。