名古屋大学工学部 受験生応援スペシャルサイト

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「女子学生のための工学セミナー」を開催

「女子学生のための工学セミナー」を開催

2024年11月21日、工学部・工学研究科主催(公益財団法人日比科学技術振興財団共催)でテクノ・シンポジウム名大2024「女子学生のための工学セミナー」を開催しました。テクノ・シンポジウムは毎年開催しており、今回は、ES総合館1階ESホールでの対面形式に加え、Zoomによるオンラインのハイブリッドで平日の夕方に開催しました。今回のメインテーマは「女性研究者として輝く未来を想像してみましょう」と題して、工学に進んだ女性が将来活躍する場の一つである、女性研究者の生活や活躍の状況、研究者の第一歩となる博士課程進学の意義や博士課程の生活の面白さなどについて、企業の方、博士学位を持つOG、大学教員及び現役博士課程学生による講演を行うシンポジウムとして、高校生、大学生、大学院生とその保護者などを対象に実施しました。当日は、中村光副研究科長の司会・進行により、小橋眞工学部長・工学研究科長の挨拶及び女性研究者に期待する背景や本学大学院の修士課程・博士課程説明の後、株式会社デンソー執行幹部 先端技術研究所長/未来社会創造機構モビリティ社会研究所 客員教授伊藤みほ様から「イノベーションと多様性:産業界から女性研究者への期待」として、企業が博士課程や女性研究者へ期待することについての講演を行いました。次いで、マルボシ酢株式会社/一般財団法人M&A食品技術研究所指導研究員 星野有理子様から「企業で活躍する博士人材」として、博士学位を持つOGからの講演を行いました。 EI創発工学館の完成 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設 その後、「大学教員への道と魅力」について、工学研究科総合エネルギー工学専攻吉橋幸子教授と工学研究科土木工学専攻周月霞助教の講演があり、最後に現役博士課程学生2名から博士課程進学の理由や博士課程の生活などの紹介がありました。また、シンポジウム閉会後に、参加者が登壇者・教員・現役学生と直接話せる交流会を設け、学生生活についての質問や進路選択の考え方などを語りあう価値のある時間になりました。

学校推薦型選抜女子枠の拡大​

学校推薦型選抜女子枠の拡大​

電気電子情報工学科、エネルギー理工学科、化学生命工学科、機械・航空宇宙工学科に続き、物理工学科、マテリアル工学科でも新たに学校推薦型選抜女子枠を設置し、令和8年度入学者選抜(令和7年度実施)から実施します。​
学校推薦型選抜女子枠の拡大
▶パンフレット(PDF)

生体模倣システムを活用した食品成分の開発​

骨格筋の生体模倣システム

生体模倣システムを活用した食品成分の開発​

▶生命分子工学専攻 本多 裕之 教授
 清水 一憲 准教授 秋山 裕和 助教​

医薬品や食品成分の開発のために、動物実験代替法が望まれています。そのためには培養可能な動物細胞に生体内と同じ機能を発揮させる技術が重要です。生体模倣システムは、細胞を用いて臓器の構造や機能を再現した先進のバイオエンジニアリング技術です。生命分子工学専攻生物化学工学研究グループでは、独自に開発したデバイスを使って、収縮力が計測できる骨格筋の生体模倣システムの開発に成功しています。このシステムを活用し、食品成分であるケルセチンが筋疲労耐性を向上させることを明らかにしました。​
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行列関数の数値計算アルゴリズムの開発​

開発した行列対数関数の計算公式

行列関数の数値計算アルゴリズムの開発​​

▶応用物理学専攻 曽我部 知広 准教授

累乗根、指数関数、対数関数、三角関数などの「初等関数」と線形代数で学ぶ「行列」の概念を合わせた「行列関数」は数学的にも応用的にも興味深い対象です。応用物理学専攻数理工学研究グループでは、数値線形代数・数値解析・精度保証の観点で相補的な理論研究を行い、コンピュータを駆使して自然科学・情報科学を始めとした幅広い応用分野に貢献すべく研究を進めています。これまでに行列累乗根、行列指数関数、行列対数関数の新しい数値計算アルゴリズムを開発しました。今後それらの応用展開が期待され ます。
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サブTHzスピンダイナミクス評価手法の概要

サブTHzスピンダイナミクス評価手法の概要

磁性薄膜のサブTHzスピンダイナミクス評価​

▶物質科学専攻 森山 貴広 教授​

テラヘルツで動作する反強磁性体・フェリ磁性体を用いたスピンデバイスは、近年発展が目覚ましい情報通信処理分野や超高速エレクトロニクスにおける次世代デバイスとして期待されており、デバイス応用に資する薄膜材料のテラヘルツ特性評価が急務です。物質科学専攻量子スピン物性研究グループでは、高出力テラヘルツ光源であるジャイロトロンを利用しサブテラヘルツ帯における磁性薄膜の磁化ダイナミクスの測定手法を世界で初めて実証しました。これまで困難とされていた磁性薄膜のテラヘルツ評価技術の先駆けです。​

図 開発中のDAC(Cryo-DAC®)のしくみ

図 開発中のDAC(Cryo-DAC®)のしくみ。アルカリ性の液体に二酸化炭素を吸わせて濃縮し、冷熱による減圧で吸収液からCO2を回収、ドライアイス化、これを密閉下で環境温度に戻し、輸送や地下貯留にも適した液化炭酸として出力することを目指します。

大気中二酸化炭素除去技術の研究開発​

▶化学システム工学専攻 則永 行庸 教授

大気中二酸化炭素直接回収、Direct Air Capture(略してDAC)といわれる技術の研究開発を進めています。DACは、産業革命以降、人類が化石資源の大量消費により、地球の吸収能力を超える二酸化炭素を排出した結果、大気に蓄積させてしまった二酸化炭素を、いわば、人為的に除去する技術です。液化天然ガスなどの極低温流体の未利用の冷熱を活用するユニークなアプローチで、DAC技術の高効率化に向けた開発を、ガス会社やプラントエンジニアリング等と共に進めています。

余剰電力による電気自動車充電モデルの構築

(A)充電促進時間帯導入
(B)電力需要試算例

余剰電力による電気自動車充電モデルの構築​

▶電気工学専攻 加藤 丈佳 教授​

再生可能エネルギー大量導入時の余剰電力を活用して電気自動車に充電すれば、 CO2を出さずに車で移動できます。その実現にはどんな仕組みが必要か、どのようなインフラ整備が必要かを検討するための基礎データとして、自動車起終点調査(ODデータ)等の統計データ等を活用し、様々な将来シナリオに応じた電気自動車の充電需要を計算するモデルを構築しています(図A)。その結果は将来の配電系統における電力需給解析にも活用されています(図B)。
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AI×工学の人材育成プログラムがスタート

AI×工学の人材育成プログラムがスタート

AI×工学の人材育成プログラムがスタート

▶機械システム専攻 竹内 一郎 教授

2025年度より、機械・航空宇宙工学科では、AIを中心としたデジタル技術を学ぶ新たな教育プログラムを開始します。本プログラムでは、少数の学生が選抜され、従来の機械・航空宇宙工学に加えて、AIや機械学習などの先端的なデジタル技術を体系的に学習します。急速に進化するデジタル社会に対応し、技術革新を担うためには、分野横断的な知識と柔軟な発想が求められます。本プログラムは、次世代の工学をリードし、新たな価値を創出できる高度専門人材の育成を目的としています。

高温・極寒に耐える省エネ宇宙機熱制御技術

本熱制御デバイスの昼夜の動作の様子

高温・極寒に耐える省エネ宇宙機熱制御技術​

▶エネルギー理工学専攻 西川原 理仁 准教授

近年、宇宙開発の月探査競争が激化しています。日本が参加する「アルテミス計画」では、月周回ステーション「ゲートウェイ」の建設や、有人月面探査車による活動拡充が計画されています。月面ローバは大きな温度差環境で活動するため、省エネルギーで昼の放熱と夜の断熱を行うヒートスイッチ技術が必要です。本研究では、無電力のループヒートパイプ(LHP)と低消費電力の電気流体力学(EHD)ポンプを組み合わせた新しい熱制御デバイスを開発し、研究室での実験においてその機能を実証しました。
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力学的性能値から3D構造を生成するAIの研究

力学的性能値から3D構造を生成するAIの研究​

▶土木工学専攻 西口 浩司 准教授

2022年以降、さまざまな3D生成AI(text-to-3Dモデル)が続々と登場しています。ただし、構造力学的な設計への適用は進んでいません。そこで計算力学・最適設計学研究室では、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた超多ケース・シミュレーションにより構築した構造力学的パラメータと3D形状がペアになったデータセットに基づく3D生成AI(parameter-to-3Dモデル)の研究を進めています。これまでに1万ケースの自動車コンポーネント構造の衝突シミュレーションを実現し、力学的性能を指定して3D形状を生成するAIを世界で初めて提案し、そのparameter-to-3Dタスクの精度を定量的に明らかにしました。

台湾國立成功大学の実験施設

台湾國立成功大学の実験施設


中国天津大学の実験施設

中国天津大学の実験施設

建築耐震技術の向上、耐震性能評価手法の構築に向けた国際共同研究​

▶減災連携研究センター/環境学研究科 都市環境学専攻
 / 工学部 環境土木・建築学科 長江 拓也 准教授​

台湾國立成功大学設計学部の研究者、中国天津大学建築工程学院の研究者と、それぞれ大規模な震動実験に基づく国際共同研究に取り組んでいます。我が国をはじめとする地震国では、大地震時における建物群の損傷が社会に多大な損害をもたらします。本研究では、再現性の高い総合実験によって、様々な観点から、地震動による建物の損傷過程、破壊過程を解明します。数値シミュレーション技術も援用し、新技術による性能向上を定量的に明示することで、社会の建物群を高耐震化に導く次世代型の設計法の構築を推進しています。

学び
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Message

工学部長・工学研究科長
小橋 眞

「工学」は、科学を人や社会に役立つ技術へと展開する総合的な学問分野です。その対象は、化学、物理、材料、電気、機械、エネルギー、建築、土木など多岐にわたっています。
産業革命以降、機械化と共にものづくりはめざましい進展を遂げ、それにともなって人々の生活も大きく様変わりしました。一方、現在に至るまでに地球環境問題や化石燃料や資源の大量消費と枯渇などの問題もクローズアップされています。また、工学の担う範囲は、従来の分野だけでなく、医療や創薬、エネルギーや環境、あるいは防災など、大きく広がってきています。最近では、人工知能の急速な高度化が、近い将来、人々の生活や社会構造を大きく変えようともしています。
このような情勢の中で、より高いレベルで「工学」を修め、世界のものづくりのリーダーとして皆さんに活躍していただきたいと願っています。
名古屋大学は門のない開かれたキャンパスが特徴です。緑あふれるキャンパスで、私たちと共に「工学」を学び、直面する課題に果敢に挑戦し、工学分野で「勇気ある知識人」として、赤﨑先生や天野先生に続きましょう。
すばらしい研究成果を皆さんと共に世界に向けて発信できることを楽しみにしています。

ノーベル賞受賞者を生み出した自由闊達な学風の下で実施する
Basics ‒ Specialization - Innovation 教育

より良い工学系人材・勇気ある知識人の育成

世界を代表するものづくり産業の集積地である中部地区の中心的研究大学として、より良い工学系人材育成の期待に応えるため、工学基礎教育を重視すると共に、専門性と総合性を備えた人材育成を目的とした教育組織とカリキュラムを再編成し、学部及び大学院を一体で2017年に改組しました。
グローバリゼーションが加速する国際情勢、新しい価値創造や技術革新をもたらす人材育成の急務化、年齢分布が逆ピラミッド型に変わってゆく状況における社会的なニーズなどの工学分野をめぐる情勢に対応します。
理工系人材育成の必要性を踏まえ、工学全般の分野を網羅した学科・専攻とし、博士人材の育成に繋げます。
育成する人材像(教育目標)

工学部

工学を拓くための学力および資質・能力を備え、
科学に対する強い興味をもとに社会に貢献する人を育てます。

▶詳細は、PCサイトの「特色・教育体制」ページ

大学院工学研究科

次世代の「工学・技術」を創造・牽引する能力を有し、
(豊かな)専門性と同時に(高度な)総合性と、
(広い)国際的な視野を併せもった、研究者・技術者を育てます。
※( )は、後期課程に付加

▶詳細は、PCサイトの「特色・教育体制」ページ

学科紹介

化学生命工学科
物理工学科
マテリアル工学科
電気電子情報工学科
機械・航空宇宙工学科
エネルギー理工学科
環境土木・建築学科

卒業生からのメッセージ

 

山野 雄平さん

山野 雄平さん

東北大学 多元物質科学研究所
生命機能分子合成化学研究分野 助教

思いがけず核酸化学の道へ。研究の“いろは”から学んだ5年間。​

もともと他大学の教育学部に在籍していた私は、学部生時代は研究とは縁もゆかりもない生活をしていました。そんなある日、名古屋大学大学院工学研究科の先生が出張で授業をされるという話を耳にし、「面白そうだから聞きにいこう!」と軽いノリで受講しました。この授業で、思いがけず化学の世界に魅了されたことが、研究者の道に足を踏み入れる一つのきっかけとなりました。名大に進学することを決めた私は、教育実習と並行して院試勉強を行うことで、大学院試験の合格ラインに滑り込みました。研究室では、材料や医薬品など多分野への応用が期待される人工核酸を扱い、その性質や機能を光で制御する研究に取り組みました。所属当初は研究の“いろは”も分からない状態でしたが、研究室の先生方が時に厳しく(まれに優しく)そして何より根気よくサポートしてくださったおかげで、在学中には面白い結果を数多く得ることができました。研究室メンバーとのディスカッションもとても楽しかったです。名大での5年間はあっという間でしたが、得た経験や出会いは何ものにも代えがたい財産だと思っています。国際学会で東北大学の先生方とお話したことなどがご縁で、今は遠くみちのくの地に移り、個性豊かな学生さんたちと核酸化学系の研究を楽しく続けています。皆さんも、人との出会いを大切にして、是非色々なことにチャレンジしてみてください。面白い未来は意外なところに転がっているかもしれません!​

山野 雄平さん 山野 雄平さん
2019年光化学討論会(名大・豊田講堂)で優秀学生発表賞を受賞した時の一枚です。​


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壱橋 里紗さん

壱橋 里紗さん

AGC株式会社 オートモーティブカンパニー車載ガラス事業部​
技術統括部 新商品開発グループ​

試行錯誤を繰り返した日々が、異なる分野の仕事にもつながる。​

在学中に出会った人や経験は私の人生の糧となっています。研究室では人体に有害な一酸化炭素を無害な二酸化炭素に変換する新規触媒の研究をしていました。結果が思うように出ず、辛い時もありましたが学部の友人たちや研究室の同僚に支えられ、乗り越えることができました。試行錯誤しながら解析を行い、毎日先生と議論を繰り返し、一つ一つ疑問を解決していく瞬間は非常に楽しかったことを今でも鮮明に覚えています。また在学中には1カ月間の海外ひとり旅に挑戦。この経験が人見知りだった自分を、ためらうことなく人に話しかけられるまでに成長させてくれました。今の会社では車載用のカバーガラスの開発を行っています。人々の重要な移動手段である車の安全性とデザインの両面で支えられることに魅力を感じ入社しました。在学中の研究とは異なり、開発が上手くいけば実際の車にすぐ採用される可能性があるという違いに驚いています。大学の専門とは異なる分野で日々勉強ですが、在学中に培った「周りの人と議論する力」や「試行錯誤し、忍耐強く進めていく力」は今の仕事でも活きています。在学中に出会った人たちや経験は私の人生においてかけがえのない宝物です。みなさんも名大で多くの人と出会い、学び、人生を豊かにしていってください。​

壱橋 里紗さん 壱橋 里紗さん
吹奏楽団での定期演奏会のワンシーン。私はチューバを吹いています。​


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野村 優貴さん

野村 優貴さん

一般財団法人ファインセラミックスセンター
ナノ構造研究所 上級研究員

高度な知識と技術に加え、人との交流があなたの強みに。

私は名古屋大学で9年間学び、さまざまな経験を積んできました。学生時代、サッカーサークルに所属し、素晴らしい友達との出会いを通して楽しい時間を過ごしました。それらの経験は、今でも大切な思い出として心に残っています。学部4年次と大学院2年間は透過電子顕微鏡の研究室で半導体の解析に専念しました。子供の頃から細かいことや小さいものを触るのが好きだった私にとって、ミクロな世界での研究は楽しく充実したものでした。高校生時代、自分は不真面目で、勉強や研究が好きだという自覚は全くなかったのですが、名古屋大学での勉学・生活を通じてその楽しさを実感することができました。修士課程を修了後、私は民間企業の研究所に約10年間勤務しました。大学とは異なり、商品化という大きな目標を持つ組織での研究は、新たな楽しさややりがいを感じることができました。企業に在籍中、名古屋大学の社会人博士課程で学位も取得しました。現在はファインセラミックスセンターという電子顕微鏡を用いた材料解析の仕事に従事しています。この記事を読んでくださっている高校生の皆さんには、名古屋大学での充実した学びや出会いを通じて、自分の夢や目標に向かって進む力を身につけてほしいと願っています。名古屋大学では、さまざまな分野の専門知識や技術を学ぶことができるだけでなく、多様な学生同士の交流を通じて貴重な人間関係を築くことができます。これらの経験は、皆さんにとって大きな強みとなることでしょう。皆さんも大学で経験を積み、自分の夢をかなえるための一歩を踏み出してください。

野村 優貴さん 野村 優貴さん
大学の夏休みに自転車で北海道を縦断したときの写真です。


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水野りらさん

水野りらさん

株式会社デンソー
センシングシステム技術1部 技術職

大学で学んだ、自分で手を動かすことの大切さを日々実感。

研究室では、透過型電子顕微鏡とレーザー光学系を用いて、金ナノ粒子に光を入射させたときの過渡応答を研究しました。この研究では、評価以前の環境構築が労力の大半を占めており、修論提出期限までに環境構築が間に合うのか……と不安だらけの毎日でした。やっとの思いで環境構築を完成させ、最初の評価で結果を出せたときの安堵感は、今もはっきりと覚えています。この体験で身につけた、根気強く物事に取り組み考え抜く態度は、今も生きていると感じます。現在の担当業務は、電動自動車向けセンサの耐ノイズ設計。自動車部品は、テレビ・ラジオ放送の送信アンテナや車内の携帯電話といった外部ノイズの影響を受け、誤動作や故障する危険性を持っています。運転中の誤動作は、生命に関わる事故に直結するため、耐ノイズ性能は、自動車の安全性に関わる重要な要素として、やりがいを持って取り組んでいます。大学で指導された「自分で手を動かす」という考え方は今も大切にしています。例えば、シミュレーションに加えて実機評価も自分で行うことで、見落とされがちな事実を発見できることがあります。研究室の先生から教わった仕事に取り組む考え方の大切さを実感する毎日です。今後も現在の業務を深掘りして専門性を高めることで、より性能が優れ製造しやすいセンサの開発をめざします。

水野りらさん水野りらさん
大学のよさこいサークルに所属。大勢で協力してひとつの演目を作り上げる、貴重な経験ができました。


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鈴木 飛鳥さん

鈴木 飛鳥さん

名古屋大学 大学院工学研究科
物質プロセス工学専攻 准教授

「大学の研究者」を選ぶ決心と、選んだその先。

「大学の研究者」の道を視野に入れ始めたのは、4年生のときの卒業研究がきっかけでした。水素のみを透過する金属の膜に関する研究だったのですが、その特性を記述する方程式として従来とは異なる式を使うと、綺麗に結果を整理できることに気づいたのです。これによってアカデミックなことを突き詰める楽しさを覚えました。とはいえ、昨今ではほとんどの学生が進学しない博士課程に進む際は、将来的な不安から非常に悩みました。しかし、就職活動で大学での研究以上に自分の興味を引くものがなかったことから、進学を決心しました。運よく論文を出しやすい分野だったこともあり、博士号を1.5年ほど短縮で取得することができて、今のポストを得ることができました。
現在は学生の頃とは異なる研究分野で、研究者としての見聞を広げつつ自分の分野を確立しようとしています。主に、機械学習などを活用して、材料を作るための複雑なプロセスの最適化や複雑な構造を持つ材料の特性予測に取り組んでいます。大学は、世の中の技術の基盤となる学理を探求できる場であり、常に新しいことに触れていられるので、今はこの道に進んで良かったと思っています。ぜひ皆さんも周囲に流されずに自分の意志で興味ある道へチャレンジしてください!

鈴木 飛鳥さん鈴木 飛鳥さん


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村松 美穂さん

村松 美穂さん

株式会社エドギフト代表取締役兼
株式会社リクルート

「幼少期からものを生み出す楽しさを」在学中に会社を設立。

とことんものづくりがしたい、そんな想いで選んだ工学部。学部時代はロケットサークルに所属してロケット開発に没頭し、4年次からは鉄に関する研究室に所属していました。また同時に、新しいものを創る楽しさをたくさんの人に届けたいと思い修士2年の時に株式会社エドギフトという教育系の会社を立ち上げました。エドギフトでは、「幼少期から新しいモノを生み出す楽しさに触れてほしい」という想いで子供向けの組み立ておもちゃTEGUMII(テグミー)の開発販売を行なっています。
修了後は、エドギフトを続けるとともに、株式会社リクルートでサービス開発に関わる仕事をしており、兼業の体制をとっています。大きな組織に所属することで得られる経験や出会いがたくさんあり刺激的な毎日を送っています。どちらの会社の仕事も大学の研究分野とは異なりますが、現在の私の挑戦の糧となっているのはサークルや研究を通して「失敗しながらも試行錯誤を繰り返す、新しいことに触れて考え抜くことで新たな発想につながる」楽しさを学んだことです。目の前のことに熱中し楽しむことで、それまでの自分では考えられなかった世界が広がりました。大学は学業だけではない面白いことがたくさんあります。ぜひ多くの人との出会いや経験を楽しんでください!

村松 美穂さん村松 美穂さん


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村手 宏輔さん

村手 宏輔さん

名古屋大学 大学院工学研究科
電子工学専攻 准教授

最先端の設備と環境から「人類未踏の電磁周波数域」に挑む。

小学生の図画工作の授業で、「将来の自分」というテーマの作品を作ったことがあり、私は迷わず、研究者になった自分の姿を粘土で表現しました。当時から漠然と「何かを発見したり、新しいものを生み出したりする人になりたい」と思っていました。あれから十数年、名古屋大学に進学し、今は大学教員として研究に打ち込む毎日を送っています。私が取り組んでいるのは、テラヘルツ波と呼ばれる電磁波の研究です。これは電波と光のちょうど中間に位置する、まだ十分に活用されていない周波数帯で、「人類未踏の電磁周波数域」とも言われています。研究室を選ぶ際にこの言葉を耳にし、強く心を動かされたのを今でも覚えています。「誰も使いこなしていない電磁波を、自分の手で制御し、実用化できるようにしたい」―そう思ってこの分野に飛び込み、早くも10年以上が経過しました。途中カナダでの研究生活や多くの国際会議での発表も経験し、今では国内外の研究者と協力しながら、その可能性を少しずつ形にしつつあります。夢を持つことは、進路を考えるうえで大きな力になります。もし、研究者やエンジニア、プログラマーといった理系の世界に興味があるなら、名古屋大学工学部は、最先端の設備と優れた教員がそろった、挑戦に最適な場所です。ぜひ皆さんと、キャンパスでお会いできる日を楽しみにしています。

村手 宏輔さん 村手 宏輔さん
大学院生のときカナダへ留学。現地の先生や学生とハキングに行った際の写真です。


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今井 瞳さん

今井 瞳さん

ヤフー株式会社
電力ネットワークカンパニー
広告プロダクション本部 デザイナー

どんな知識や経験も、考え方ひとつで自分の強みに変えられる。

子供の頃からインターネットが好きで、プログラミングにも少し興味があったので、電気電子・情報工学科、そして計算理工学専攻を選択しました。講義を受けるまではHTMLを少し触ったことがある程度でプログラムを組むことは全くできませんでしたが、課題をこなしたり、周りのメンバーに教えてもらったりしながらコードが書けるようになり、さらに研究室ではプログラミングでデータを分析して、どう活かすかを考える力が身につきました。研究室ではエンジニアになる方がほとんどでしたが、絵を描くのが好きだったこともあり、見せ方の部分にも携われる仕事がしたいと思い、デザイナーを選択しました。Illustratorも使ったことのないままデザイナーとして働けるのかという不安はありましたが、研修中にツールの基礎を学び、今ではレビューも行えるようになりました。また、Webページの制作では、数値を根拠に構成を考えることも多いため、データ分析ができるデザイナーというのは強みになったなと感じています。どんな経験や知識も、考え方次第で活かせるものに変わると思います。やって損ということはあまりないので、興味のあることにはどんどんチャレンジしてみてください!

今井 瞳
ソフトボール部の大会での写真です。今も社会人チームで続けています。


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趙 雨晴さん

趙 雨晴さん

名古屋大学 大学院工学研究科
機械システム工学専攻 助教

人の反応の法則性を解明し、安全につながる運転支援技術を。​

中学生の頃から自動車に興味を持ち、将来は自動車関連の職に就くことを夢見ていました。大学では自動車工学を専攻し、さらに世界に通用する知識を得るために、留学を決意しました。日本の自動車産業は競争力が高く、名古屋大学は自動車工学の分野で高い研究力を持っているため、名古屋大学を選択しました。修士・博士課程の5年間の在学中に数多くのプロジェクトに参加し、国内外の学会に発表しました。研究室の学術的雰囲気と互いを尊重し合う仲間が、研究への情熱を支えてくれました。現在は自動車の安全に関する研究に取り組んでいます。事故に至るような緊急シナリオにおけるドライバや自転車、歩行者などの反応や行動を明らかにし、事故要因を解明して事故防止に効果的な運転支援を実現することを目指しています。人の反応が法則を持っていることに驚かされることもしばしばです。研究結果を事故の減少につなげ、一人でも多くの交通事故被害者を助けられたらと考えています。研究を重ねる中で、自身の夢がより国際的にも分野的にも広い世界へと繋がることを実感しています。さらに、夢を追い求め、今後も研究を通して自動車の安全に貢献することを願っています。​


2018年名古屋大学自動車工学サマープログラム(NUSIP)に参加し、海外の学生と交流を楽しみました。​


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堀部 貴雅さん

堀部 貴雅さん

株式会社ティアフォー
技術開発本部

ライバルは大企業。ベンチャー企業で世界の最前線へ。

漠然と宇宙の勉強がしたいと選んだ機械航空工学科。振り返れば、宇宙開発サークルの立ち上げ、アメリカへの研究留学など、多くの経験をしました。
数学が機械の動きに直結する面白さに魅了され、研究室は制御研を選択。最初のテーマは「倒立振子」と呼ばれるロケットに見立てた一本の棒を制御することでした。しかし当初の実験は失敗の連続。理論的には合っているはず…と暗い顔で机上の数式を見つめる私に、同期から「今から一緒に100回実験するぞ」と提案され、なんとその日に実験は成功。結果を解析すると、気にも留めていなかったセンサーに問題があったことが発覚。なるほど、こういう研究の進め方もあるのか、と自分の考え方が変わった瞬間でした。名大の生活はこのような「自分の知らない世界を見せてくれる人たちとの出会い」との連続でした。
現在はベンチャー企業で自動運転の開発を行っています。複雑な道路環境でどのように車両を制御するか。自動運転は様々な技術の集約であり、制御理論や数理最適化、機械学習、ソフトウェア工学などと言った幅広い分野の知識が必要となります。数式やプログラムと対峙する一方で、困ったらとりあえず実験してみることも。ライバルはGoogleやTeslaといった大企業。技術者として世界の最前線で戦うことができる環境を楽しんでいます。

堀部 貴雅さん 堀部 貴雅さん


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多田 健一さん

多田 健一さん

(国研)日本原子力研究開発機構
原子力基礎工学研究センター
炉物理標準コード研究グループ
研究副主幹

自分の直感を信じてやりたいことをトコトン追及!

名大を選んだ動機は『核融合炉開発に携わりたい』でした。講義を聞くうちに核分裂に興味が移り、『原子炉の中を見てみたい』という興味から研究室を選びました。

就職か博士課程進学かは悩みましたが、『今の研究が面白いので突き詰めたい』という真面目な思いと、『スイスで開催される国際会議に出たい』という俗物的な思いから進学を決めました。このように私は今まで自分の直感を信じて進路を選んできました。福島第一原子力発電所事故など、自分の価値観が揺らぐこともありましたが、『原子力は日本のエネルギー源として重要』という信念を胸に研究開発を進めています。

私は現在、基礎的な物性データである核データ評価と、被ばく量評価や原子炉設計等の解析コードを繋ぐ核データ処理の高度化に取り組んでいます。世界的にもこの分野の研究者は少なく、日本では私一人です。最初は専門外で戸惑うことも多かったのですが、大学で学んだ『面白そうなこと』を見つけてトコトン追及するという教えが、今の研究を支えてくれています。幸いにも名大には学生のやりたいにトコトン付き合ってくれる先生が大勢います。是非とも自分の直感を信じて、自分の道を突き進んでください!!

多田 健一さん多田 健一さん


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福井 悠平さん

福井 悠平さん

中部電力株式会社​
本店原子力本部原子力部安全技術グループ​

工学を通じて原子力の安全性を追求。

学生時代に発生した東日本大震災を契機に、私は原子力分野に興味を持ち、原子力施設の安全性向上、原子力施設の安全規制、核融合発電の開発などに関わりたいと考えました。進学先を考える時期に、私の学びたい学術分野が詰まった「エネルギー理工学科」が新設されることを知り名古屋大学を選びました。名大に入学してからは、原子炉で発生する中性子の挙動を計算する「原子炉物理学」に興味を持ちました。第4学年への進級時には原子炉物理学を担当する教授の研究室に進み、原子炉の数値計算を高精度化する手法の開発に取り組みました。大学院では研究だけでなく人材育成プログラムが充実しており、実機原子炉での実験や炉心設計・事故解析などに関する貴重な経験を得ることができました。現在は原子力発電所で重大事故等が発生した場合の安全対策を検討し、その対策の有効性を規制機関に説明する仕事をしています。定量的に安全性を示すには、原子核レベルのミクロな視点から、気象レベルのマクロな視点にわたる幅広い工学の知識が必要となるため、名大で学んだ知識や経験を存分に活かしています。この先も安全を確保していくためには、一人でも多くの優秀な技術者が必要です。名大に入って「勇気ある知識人」として成長した皆さんと、同じ業界で一緒に働けることを楽しみにしています。​

内村 星央さん 内村 星央さん
在学時は山歩きサークルに所属し、今も学生時代の友人と山歩きしています。​


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吉川 高広さん

吉川 高広さん

岐阜大学
工学部社会基盤工学科 准教授

自然を相手にする面白さと難しさに満ちた土木工学の世界。

私が小学生のときに京都議定書が採択されるなど地球温暖化問題が大きく取り上げられ始めました。当初は環境問題に取り組みたいと考えて、名古屋大学工学部社会環境工学科(現:環境土木・建築学科)に入学しました。学部2年次に社会資本工学コース(現:環境土木工学プログラム)を選択後は、基礎を重んじる名大土木の講義のおかげで、構造・水工・地盤・計画・環境系と多岐にわたる土木工学のどの分野にも興味を持ち始めました。学部4年次に地盤系の研究室に入り、博士後期課程を経て、現在に至ります。土木工学の中には皆さんの興味を引く分野があると思います。私のように興味の幅が広がるかもしれません。自然を相手にする面白さ・難しさがあり、研究してもしきれないと感じる毎日です。現在は、降雨時の自然斜面や盛土の崩壊に関する研究に取り組み、熱海土石流災害における盛土の崩壊メカニズム解明の一端を担いました。直接的に社会に貢献するため、大きなやりがいを感じるとともに、災害時には無力さを痛感することも多いです。当初は興味がなかったことでも、いざ真剣に取り組んでみると面白かった、ということはあると思います。勉学、部活動・サークル活動など、さまざまなことに一生懸命取り組んで、自分の世界を広げていってください。

吉川 高広さん吉川 高広さん
修士課程2年生のときの研究室の集合写真。大所帯のためゼミや懇親会はいつも大盛り上がり。私はノリが学生です!


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李 燕さん

李 燕さん

名古屋大学
大学院工学研究科 講師

設計や研究活動を通じて、自分の可能性に挑み続ける。

小さいときから積み木やダンボールで建物の模型をつくるのが好きだったので、中国の大学で建築学を専攻し、建築設計を学びました。学部の近代建築史の授業をきっかけに、丹下健三や谷口吉生、安藤忠雄などの日本建築家に憧れ、日本に留学することを決めました。学部のとき、設計で最も重視したことは見た目の格好いい建築を作ることでした。しかし、来日してさまざまな建築と場所を訪れる中、「人」を中心とした空間の在り方を考えるようになり、物理的な形態だけではなく、人々の豊な暮らしを支える建築を作りたいと思いました。その思いをもって、卒業後は組織設計事務所に就職し、住宅や商業施設、公共建築などの幅広い設計業務に関わり、図面上でラインを引く段階からそれを物理的に実現させる全過程を経験しました。一方で、設計者として、各プロジェクトに求められる物理的な建築物を実現するだけではなく、建物の使われ方や提供プログラムまで踏み込んだ提案もしたいと思いました。つまり、「どのように」ではなく、「何のための」建築を作るかを提案したいと思い、今は大学の研究者として公共建築の再編について研究しています。設計や研究活動など、一つに限られることなく、これからも自分の可能性に挑みながら、より良い建築を提案して行きます。

李 燕さん李 燕さん
ロンドンで住民が運営する図書館を視察しました。


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