名古屋大学工学部 受験生応援スペシャルサイト

物理工学科

名古屋大学ビームライン at あいちSR #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

名古屋大学ビームライン at あいちSR

何が学べるか

物理に立脚した工学の創造

現代の科学と技術は互いに不可分の関係にあります。科学上の発見が直ちに技術へ応用され、一方で工業技術の研究が科学を推進する力となっています。科学と技術のさらなる発展のため、物理工学科では物理学・計算科学・材料科学を基盤として、基礎から応用まであらゆるものを教育・研究の対象としています。物質の電気・磁気・光学的性質を調べて機能性物質の創製を目指す物性物理、極限的な高圧・低温・極小を調べて新規物質を探索する極限物理、DNAなどのソフトマテリアルや流動現象、機能性物質の設計指針を探る計算科学など、基礎から応用まで物理学を広く深く学んで、物質世界や自然情報の世界の冒険に挑みます。

物理工学科の概念図

物理工学科の概念図

学びの環境

物理の基礎と先端技術が身につく

物理学は、数学と並び、科学と技術の基礎となっています。本学科では数学と力学、電磁気学、量子力学に代表される物理学の基礎を、講義と演習でしっかり学べるカリキュラムを用意しています。4年次には、各研究室で教員から少人数で直接指導を受け、卒業研究を自らの計画のもとに行います。この過程で知識や技術に加え、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も磨かれます。大学院へ進学すれば、応用物理や物質科学の最先端の研究を経験することでさらに高度な研究能力が身につきます。

研究室のディスカッション風景

研究室のディスカッション風景

将来への期待

卒業生は幅広い分野での活躍が期待されます

物理工学科卒業生は、分野を問わず幅広く活躍しています。多くの学部卒業生は、さらに高度な研究能力の獲得を目指して大学院博士前期課程、いわゆる修士課程に進学します。学部、修士の卒業生は自動車、機械、電気電子、通信、化学など、幅広い分野に就職しています。卒業生の活躍を反映して各社から毎年多数の求人があります。修士課程修了後、毎年一定数は博士課程に進学します。博士課程卒業生は名古屋大学を始め、東京大学、京都大学、慶応大学など全国の大学の教員となっている他、理化学研究所などの公設研究機関や民間企業の研究員にも採用されています。

Key Words

複合自由度系のエントロピーと熱体積機能

磁性に、電荷や軌道、フラストレーションなど結晶格子の特異性といった他の自由度が絡んだ材料群で、相転移での巨大なエントロピー変化に着目し、熱膨張制御、熱電変換、固体冷凍などの革新的機能を創出します。

レーザー干渉計による精密熱膨張測定

レーザー干渉計による精密熱膨張測定

スピン自由度を利用した新しいデバイス応用

森山研究室では、電子の量子力学的自由度である“スピン”から発現する物理現象を明らかにし、それらを利用することでデジタル情報社会に供する省消費電力・高密度・高速なスピントロニクス応用を目指しています。

スピントロニクス素子のイメージ図

スピントロニクス素子のイメージ図

ここがスゴイ!

  • 電解質を用いた発光素子

    竹延研究室は有機材料・ナノカーボン材料・原子層材料など様々な材料を用い、有機レーザー・新原理発光素子・超伝導体素子・熱電変換素子など既存のエレクトロニクスにはない新しい機能性素子実現に挑戦しています。

    電解質を用いた発光素子
  • 超伝導体中の電子の作るトポロジカルな渦

    田仲・川口研究室では、電子や原子が持つ波としての性質をトポロジーや群論を使って解析、そこから生まれたマヨラナフェルミオン(トポロジカル超伝導体)や磁気スキルミオン(電子スピンの渦構造)の新機能を理論的に探索しています。

    超伝導体中の電子の作るトポロジカルな渦
  • 原子分解能での磁気モーメント測定

    原子サイズまで細く絞った電子によって磁性材料中の各原子列が持つ磁気角運動量の大きさと向きを世界で始めて測定できることを示しました。この技術によって組織制御磁石材料の開発に寄与します。

    原子分解能での磁気モーメント測定

わたしの6年間

積み重ねた確かな物理の知識を力に、
100万分の1秒の現象の可視化に挑む。

杉江 晃成

齋藤研究室(応用物理学専攻)所属

学部1~3年次/高校時代から物理が好きで、微小な世界を扱う量子力学の分野を知り関心を持ちました。進路を選ぶ際には、理論を学ぶだけでなく応用も考える工学部に魅力を感じて、この学科へ。サッカーに打ち込んだ高校時代から一転して、大学では勉強に力を注ぎました。現在の研究にも関係する「物性物理学」や「量子力学」はもちろん、数学的空間について考えるような高度な数学も興味深く、ときには一人で、ときには図書館で友人たちと一緒に取り組みました。レベルの高い学生に囲まれ、刺激を受けて自然と努力できる環境のよさは、大学院進学後の今も感じています。

杉江 晃成

電子顕微鏡の下部奥に、センサチップを搭載したカメラをセット。微小な世界の一瞬の現象を、動画として捉えます。

杉江 晃成

4年次に研究室メンバーで富山マラソンを完走。達成感が大きく絆も深まり、今は自分から参加を呼びかけています。

学部4年次〜大学院/電子顕微鏡で100万分の1秒レベルの高速な現象を動画撮影するための、カメラを開発しています。このカメラが実現すれば、例えば生体内のタンパク質の構造変異などの物理現象を観察できます。時間あたりの撮影コマ数を従来のカメラの数千倍に上げるため、各ピクセルに複数のコンデンサが組み込まれたイメージセンサを使い、1か0かの2択ではないアナログ情報を記録する点が研究の新しさ。システムとソフトウェアを手探りの状態から構築し、ようやくカメラが動く状態になりました。課題を解決していった先に、原子スケールの現象が見える。そんな期待感が研究の醍醐味です。

大学院へGO!

応用物理学専攻

科学と技術のインターフェース

本専攻に進学すると、学部で学んだ物理学の堅固な知識を基盤として、物性物理学、材料科学、計算科学分野におけるより高度かつ先端的な課題の研究を行います。研究を通じて、新しい原理の発見とそれを広く応用する能力、新しい境界領域を創造する能力が身につきます。結果として基礎と応用の両分野で活躍できる研究者、技術者となります。後期課程では、社会の課題を自らの研究に結びつけ、その解決を果たすための創造力/総合力/俯瞰力を養います。高い見識を有し、国際的に指導力を発揮できる人材となります。

有機分子TMTTFの電子密度分布(澤研究室)

有機分子TMTTFの電子密度分布(澤研究室)

物質科学専攻

新しい視点で物質を科学する

本専攻に進学すると、学部で学んだ物理学に、応用化学・応用物理学・材料科学等の幅広い理工学分野のエッセンスを融合させた物質科学の新しい学問体系を学べます。物質やデバイスが関わる幅広い工学と社会の発展に寄与できる多角的な視野・柔軟な価値観が身につきます。後期課程では、物質科学に関わる個々の学問分野をより深く探究しつつ、枠組みを乗り越えた周辺領域も学びます。科学技術分野で世界的なリーダーシップがとれる技術者・研究者を養成します。

超高精度X線反射ミラー(松山研究室)

超高精度X線反射ミラー(松山研究室)

進路状況