シーズNo.94

平成15年度名古屋大学工学研究科「産学官共同研究開発技術シーズ調査票」

 

 研究開発テーマ

   (シーズ)

テープ状高温超電導線材の高磁場応用開発

 

技術分野(該当分野に○印を付け別表の該当番号を記入。複数の場合は主なものに◎

研究段階(該当に○

〔 〕材料(No  )、 〔 〕バイオテクノロジー(No  )、 〔 〕情報通信(No  )

〔 〕機械(No  )、 〔 〕 医療・福祉(No  )、 〔◎〕 エネルギー(No.33)

〔 〕環境(No  )、 〔 〕 その他(No  )

 基礎          応用

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーワード(5つ以内)

超電導、薄膜、磁場、線材、マグネット

 

提案者職名・氏名

所属機関名(学部・研究室名)

助教授 吉田 隆

工学研究科・エネルギー理工学専攻・超伝導工学講座

 電 話

052-789-5417

 mail

yoshida@nuee.nagoya-u.ac.jp

 FAX

052-789-5418

 ホームページ

http://www.ees.nagoya-u.ac.jp/~web_dai1/index.html

 

 研究開発の目的

(研究の目的、最終的な事業化分野)

酸化物系超電導体の発見から約10年以上がたち、超電導メカニズムなどの基礎研究も大きく進展し、臨界温度、臨界電流密度も向上してきた。また、実用化への応用研究も、デバイス、線材を中心に多くの研究グループで検討されている。特に省エネルギー効果などで期待される液体窒素温度作動超電導マグネットの研究は、最近大きな進展があった。各種薄膜プロセスの高速化、金属基板上の超電導薄膜結晶の配向性の向上などが報告され、液体窒素温度での低磁場マグネットの開発研究は実用化が見えてきた。我々は、超電導薄膜を用い、その成長過程を制御することにより、超電導膜、磁束線の動きを止める人工ピンの成長メカニズムを検討することにより、応用上の次の目標である高磁場中での高特性を有する超電導線材を構成する超電導薄膜を作製することを目的とする。

研究開発の内容(概要)

(研究の内容・課題等を具体的に、必要に応じ資料を添付してください)

液体窒素温度作動の超電導線材に関して、低磁場中で用いる送電ケーブルなどの材料は、低磁場高温度で高い特性を示すBi系が有望視されている。一方、液体窒素作動の超電導エネルギー貯蔵システム(SMES)や磁気共鳴イメージング(MRI)などの超電導マグネットに用いる超電導線材は、高磁場高温度で高い特性を要求される。磁場中での磁力線の動きを止めるピンを目的量制御して人工ピンを超伝導相内に導入する必要がある。超電導体の作製プロセスとしては、多くの臨界電流密度を流すことができる薄膜プロセスを用い、さらにエピタキシャルに成長する超電導膜及び非超伝導相で構成された人工ピンを作製する。その間、超電導膜、人工ピンの成長メカニズムを検討することにより、高特性化を目的とする。

 新規性、独創性

(当該シーズの新規性・独創性・優位性等を具体的に)

酸化物系超電導薄膜においては、現在多くの研究グループでYBa2Cu3O7-y系超電導体のプロセス改良が行われている。この材料では液体窒素温度において1T以上を発生する超電導マグネット作製が可能と考えられている。さらにCuOやY-Cu-O、Y2O3などの非超電導相を微細に分散することにより、磁場中でのさらなる高特性化が試みられている。また表面成長の観点から、結晶が成長する際に、存在するスパイラル成長の中心がピンとして機能することも確かめられている。我々は、Nd系薄膜を用いた、薄膜成長とNd-213相の生成メカニズムに関して考察した。さらに金属基板上での超電導膜の微細析出物の成長メカニズムに関しても検討を深めてきた。このような観点から、ReBa2Cu3O6+y系酸化物系超電導膜においてRE元素をSmGd系などのYとNdとのイオン半径の中間の材料を用い、さらに薄膜の成長過程を考察することにより、人工的に非超電導相を微細に制御することが可能であると考えられる。

地域経済への波及効果

(本研究によって期待される成果・効果、地域への貢献、産業界へのインパクト等)

省エネルギーや、エネルギー貯蔵は、限られたエネルギーの有効活用と思われる。液体窒素温度作動の超電導線材に関して、低磁場中で用いる送電ケーブルなどの材料は、低磁場高温度で高い特性を示すBi系が有望視されている。一方、我々が検討する高磁場用超電導薄膜は、液体窒素作動の超電導エネルギー貯蔵システム(SMES)や磁気共鳴イメージング(MRI)などの超電導マグネットなどに応用することができ、大きな技術革新と思われる。

 実用化への見通し

(共同研究の相手となる企業・業界、実用化までの期間等)

酸化物系超電導薄膜においては、現在多くの研究グループでYBa2Cu3O7-y系超電導体のプロセス改良が行われている。最近は、BaFを原料として用いたEB(電子ビーム)蒸着法を用いた超電導膜や塗布膜の成膜速度の向上が報告された。また金属基板上の成膜プロセスの開発が検討されている。このようにYBa2Cu3O7-y系超電導膜に関してはその成膜プロセスの改良が進行している。このように超電導薄膜線材に関しての研究は大きな進歩が確認される。本研究における酸化物系超電導薄膜の人工ピンの研究は、これらのYBa2Cu3O7-y系超電導膜のプロセスを適応することにより、高磁場用超電導線材の実用化へと進展すると考えられる。

 関  連

工業所有権

  発明(考案)等の名称

    発明者

   出願人

  外国出願

特許準備中

 

 

  〔 〕有

  〔 〕無

 注意事項: @ 記入事項が多い場合は、縦方向に枠の大きさを広げて下さい。

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         ので非公開情報の箇所は「非公開」と御記入下さい。