シーズNo.97
平成15年度名古屋大学工学研究科「産学官共同研究開発技術シーズ調査票」
研究開発テーマ (シーズ) |
燃焼駆動型高出力ガスレーザー |
技術分野(該当分野に○印を付け別表の該当番号を記入。複数の場合は主なものに◎ |
研究段階(該当に○) |
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〔 〕材料(No )、 〔 〕バイオテクノロジー(No )、 〔 〕情報通信(No ) 〔 〕機械(No )、 〔 〕 医療・福祉(No )、 〔○〕 エネルギー(No33) 〔 〕環境(No )、 〔 〕 その他(No ) |
基礎 応用 |
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a |
b |
c |
d |
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○ |
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キーワード(5つ以内) |
レーザー,燃焼,マイクロ波,エネルギー変換,コジェネレーション |
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提案者職名・氏名 |
所属機関名(学部・研究室名) |
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教授・森 滋勝 |
先端技術共同研究センター・環境・生命工学 |
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電 話 |
052-789-3377 |
E– mail |
mori@nuce.nagoya-u.ac.jp |
FAX |
052-789-3271 |
ホームページ |
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研究開発の目的 (研究の目的、最終的な事業化分野) |
レーザーの工業的用途の拡大を図る上で,高出力化および高効率化は必要不可欠となる。従来のレーザーの励起エネルギーは電力のみに依存しているため,一般にエネルギー効率の極めて低いレーザーでは,高出力化に伴い消費電力が飛躍的に増大することは避けられず,励起媒体の化学的安定性,省エネルギーさらには電力設備の制約の観点からも必然的にレーザー出力に限界が生じることになる。本研究では,空気とメタンなどの炭化水素系気体燃料との燃焼エネルギーを利用して,燃焼駆動型高出力ガスレーザー光と熱・電力を発生させるハイブリッドエネルギー変換システムを提案し,ガスレーザー発振の実証試験および高効率・高出力化,さらにはトータルエネルギーシステムとしての高効率化のための基礎試験を行っている。 |
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研究開発の内容(概要) (研究の内容・課題等を具体的に、必要に応じ資料を添付してください) |
空気とメタンなどの炭化水素系気体燃料との燃焼場に,マイクロ波を印加した場合または超音速流で断熱膨張させた場合の燃焼ガス分子のエネルギー励起状態を明らかにするとともに,新型の高出力,高効率レーザー発振実現のための基礎的研究を行う。火炎中には活性化学種が広範囲に分布しており,これにマイクロ波を照射することにより,自由電子ならびに活性化学種が有効に励起され,レーザー発振の必要条件となる反転分布が達成されるものと考えられる。ここでは,このような励起に伴うエネルギー準位間の遷移状態を分光学的に計測し,レーザー発振に最適な遷移を模索するとともに,反転分布に伴う微少利得(ゲイン)に与える燃焼条件,マイクロ波励起方式の影響を明らかにしつつ,全く新しいタイプのレーザー発振の実証実験を行っている。 |
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新規性、独創性 (当該シーズの新規性・独創性・優位性等を具体的に) |
本研究では、予め多孔体バーナーでの燃焼により気体分子または化学種を活性化させておき、これにマイクロ波照射を加えて効率的に励起または,断熱膨張を利用してポピュレーションの反転分布化を達成させることにより、レーザー発振の可能性を実証しており、以下の点に特色、独創性および意義を有する。 1)燃焼に伴う活性化学種および自由電子の生成が、マイクロ波のエネルギー吸収性能を向上させ、励起効率を増大させ得る。 2)熱的平衡状態では、基底状態のエネルギー準位にある分子密度が最も高く、高準位になる程分子密度が低下することが、ボルツマン分布から知られている。しかし、あらかじめ燃焼場の反応活性化状態を利用して、高準位にある分子の密度を高くしておくことができるため、励起エネルギーのすべてを電力に依存する必要がない。 3)ガス媒体がオープンの流通系で操作されるために、密閉式ガスレーザーのように媒体ガスの劣化がない。 4)通常の炭化水素燃料が利用できる。 5)廃熱利用により、レーザー・電力・熱供給という新たなコジェネレーションシステムの構築が可能。 |
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地域経済への波及効果 (本研究によって期待される成果・効果、地域への貢献、産業界へのインパクト等) |
当該研究で提案しているレーザーシステムは,大電力を必要としない高出力レーザーであり,熱・電力へのコジェネレーションが可能となるため,エネルギーのトータル効率が極めて高く,金属やセラミックの精密加工,切断等に活用することができる。特に,鉄鋼業では高炉ガスやコークス炉ガスを燃料にするレーザー出力が得られ,かつこれを利用して,従来は冷却しつつ鋼板の切断を行っていたものを高温状態のままレーザー切断が可能となり,鋼板の持つ熱回収が容易になるため,トータル的なエネルギー効率の向上も期待できる。このような観点から産業界へのインパクトは大きいと考えられる。 |
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実用化への見通し (共同研究の相手となる企業・業界、実用化までの期間等) |
レーザー発振のための必要条件となる二酸化炭素分子振動エネルギーの反転分布を,光学的なゲイン計測からすでに確認している。このことは,システムのスケールアップと共振器を設置することでレーザーの発振が可能であることを意味しており,実用化は十分期待できる。ただし,現在のところ最も効率の高くなる操作条件ならびに計測精度の向上を模索中であり,このような基礎研究がここ1〜2年以内には終了し,その後レーザーシステムへの実用化試験が可能になる。このようなシステムは,高出力レーザーならびに熱・電力需要の高い鉄鋼,セラミック,機械,材料加工等の業界で有用な技術と考えられる。 |
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関 連 工業所有権 |
発明(考案)等の名称 |
発明者 |
出願人 |
外国出願 |
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〔 〕有 〔 〕無 |
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注意事項:@ 記入事項が多い場合は、縦方向に枠の大きさを広げて下さい。
A 掲載して頂く技術シーズはシーズ集・ホームページ等での公開を前提に記載していただいています
ので非公開情報の箇所は「非公開」と御記入下さい。