シーズNo.48
平成15年度名古屋大学工学研究科「産学官共同研究開発技術シーズ調査票」
研究開発テーマ (シーズ) |
インフルエンザウイルスを検出するバイオセンサー |
技術分野(該当分野に○印を付け別表の該当番号を記入。複数の場合は主なものに◎ |
研究段階(該当に○) |
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〔○〕材料(No04)、 〔◎〕バイオテクノロジー(No10)、 〔 〕情報通信(No ) 〔 〕機械(No )、〔○〕 医療・福祉(No28)、 〔 〕 エネルギー(No ) 〔○〕環境(No41)、 〔 〕 その他(No ) |
基礎 応用 |
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a |
b |
c |
d |
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○ |
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キーワード(5つ以内) |
生体材料、機能高分子、糖鎖工学 |
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提案者職名・氏名 |
所属機関名(学部・研究室名) |
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教授・小林一清 |
工学研究科・物質制御工学専攻・有機材料制御工学講座 |
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電 話 |
052-789-2488 |
E– mail |
kobayash@mol.nagoya-u.ac.jp |
FAX |
052-789-2528 |
ホームページ |
http://www.nubio.nagoya-u.ac.jp/seigyo1/ |
研究開発の目的 (研究の目的、最終的な事業化分野) |
インフルエンザウイルスは定期的に大流行して、高齢者や学童をしばしば死に至らせる。インフルエンザウィルスを検出したり捕捉したりできれば、社会的な有用性は極めて高い。インフルエンザウイルスは,人体に侵入するときに,細胞表面に多く含まれている糖鎖と相互作用して細胞内に取り込まれる。そこで,ウイルスと強く相互作用する糖鎖を材料表面に結合させることにより,ウイルスを防御することに着目した。一方,ルテニウム金属錯体にオリゴ糖を結合すると,ルテニウムの蛍光が非常に強くなることを別途見つけた。そこで,ウイルスと相互作用しやすいオリゴ糖をルテニウム金属錯体に結合することにより,ウイルスを検出できるバイオセンサーを開発することが可能ではないかと考えて本開発を行った。 |
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研究開発の内容(概要) (研究の内容・課題等を具体的に、必要に応じ資料を添付してください) |
本研究では,鶏卵の黄身の中に含まれるシアロオリゴ糖鎖がインフルエンザウイルスと強く結合すること及びシアロオリゴ糖鎖を一発で別の化合物に転移させる酵素(EndoM)に着目した。 EndoMの糖転移活性を活用することにより,シアロオリゴ糖鎖を蛍光性の金属錯体に転移させた。得られた化合物は、強い蛍光性を発揮するとともに,インフルエンザウィルスと一層強く相互作用することを明らかにした。さらに,強い蛍光は,ウィルスと結合すると大幅に減少することを発見した。バイオセンサーとして働くことが明らかになった。 |
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新規性、独創性 (当該シーズの新規性・独創性・優位性等を具体的に) |
細胞表層において糖鎖は、密に集合することによりレセプタータンパク質に強く認識され、糖鎖の認識信号としての機能が大幅に増進する。この現象にいち早く着目して、糖質を高分子に密に結合させると、高分子物質の構造形成と相俟って、糖質の認識信号としての機能を大幅に増進させることができることを見出し、低分子物質とは異なった生物機能を発現する材料を開発してきた。このような糖鎖の機能を生体材料に活用しようとしている例は他にはない。 インフルエンザウイルス以外にも,大腸菌ベロ毒素を検出・捕捉・中和できるシステムを現在開発中である。またマイコプラズマ糖脂質の化学合成にも成功しており,リューマチに対する医薬としての検討も行っている。 |
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地域経済への波及効果 (本研究によって期待される成果・効果、地域への貢献、産業界へのインパクト等) |
我が国は糖鎖生物学・糖鎖化学の世界的な学術の中心地帯であり、なかでも名古屋地区には糖鎖生物学・糖鎖化学の国際的な人材が密集していることは自他共に認めているところである。ただし、医薬品あるいは生体材料としての学術の成果を産業に活用することになると、まだこれからの課題である。現在、糖鎖科学名古屋拠点コンソーシアムを立ち上げ中である。広い範囲の産業界に関心を抱いていただければ幸いである。 |
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実用化への見通し (共同研究の相手となる企業・業界、実用化までの期間等) |
産業化するためには、大量生産システムを作り上げるとともに、検出・捕捉・中和のためのシステムを作り上げる必要がある |
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関 連 工業所有権 |
発明(考案)等の名称 |
発明者 |
出願人 |
外国出願 |
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シアリルラクトース結合ポリスチレン誘導体及びその用途 ウィルス捕捉材およびウィルスセンサー ウィルス捕捉材およびウィルスセンサー |
小林一清、鈴木康夫、松原範宜 小林一清、小島慎司 小林一清、鈴木康夫、小島慎司 |
雪印乳業株式会社、小林一清、鈴木康夫 小林一清 科学技術振興事業団(JST) |
〔○〕無 〔○〕無 〔○〕無 |
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注意事項: @ 記入事項が多い場合は、縦方向に枠の大きさを広げて下さい。
A 掲載して頂く技術シーズはシーズ集・ホームページ等での公開を前提に記載していただいていますので非公開情報の箇所は「非公開」と御記入下さい。