名古屋大学工学部 受験生応援スペシャルサイト

line

NEWS HEADLINE

EI創発工学館の完成 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設 EI創発工学館の完成 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設 EI創発工学館の完成 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設 EI創発工学館の完成 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設

EI創発工学館の完成
― 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設 ―

工学部7号館を中心とした建物群に対する安心安全な教育研究基盤の確保と同時に、分野を融合した新しい創発工学を創出し、人材育成や産学官連携及びイノベーションの創出に対応した地域連携グローバル人材育成拠点として、令和3年(2021年)3月に建設工事に着工し、「EI創発工学館」として、令和5年に完成し、秋から供用開始です。この事業により設置される施設の規模は地上9階建て、民間付帯施設を合わせた延べ床面積は約17,000㎡です。整備は、施設等の設計・建設・維持管理を民間事業者に一体的に委ね、民間事業者の創意工夫やノウハウ、経営能力及び技術的能力を最大限に活用し、財政資金の効率的な使用を図りつつ整備を行うこととし、PFI 法に基づき実施されました。教育研究棟は、高層階は産学連携スペースとし、高・中層階は主に機械系の実験室、研究室、会議室等で、低層階は講義室、研究室、実験室、クリーンルームなどで構成し、福利厚生棟は食堂、購買や民間付帯施設等です。この事業において、株式会社FUJI様からホール(FUJIホール)と学修支援スペース(FUJIスクエア)、東京エレクトロン株式会社様からホール(TELオーディトリアム)設置にかかる建設費等の寄附がありました。
EI創発工学館の完成 名古屋大学地域連携グローバル人材育成拠点施設

テクノシンポジウム名大(2022)女子学生のための工学フォーラム

テクノシンポジウム名大(2022)
~ 女子学生のための工学フォーラム~ を開催

2022年12月17日、工学部・工学研究科主催(公益財団法人日比科学技術振興財団共催)でテクノシンポジウム「女子学生のための工学フォーラム」を開催しました。テクノシンポジウムは毎年開催していますが、2022年度は3年ぶりに対面形式で開催するとともにYouTubeによるライブ配信も併せて行いました。今回のメインテーマは「未来を拓く工学部女子学生」で、工学を学ぶことに興味をお持ちの女子高校生をメインに、保護者、高校教師、予備校の方々を対象として、①女子学生が工学を選んだ理由は何か ②社会は工学女子学生(博士も含む)に何を期待しているのか ③工学部を卒業した女子学生にはどんな未来が待っているのかで実施しました。当日は、鈴木副研究科長の司会・進行により、宮﨑誠一工学部長・工学研究科長の挨拶と「女性の活躍を含めた工学部・工学研究科紹介」の後、鳴瀧教授から「女子学生支援施策・設備紹介」として、名古屋大学の学生が受けることができる学生支援(経済的支援、研究支援、キャリアパス支援)、女子学生のための支援プログラムなどを紹介しました。
テクノシンポジウム名大(2022)女子学生のための工学フォーラム
次いで、工学部OGによる「工学部出身女性のキャリアパスをテーマとしたパネルディスカッション」を行い、工学部で学んだことがどのように活かされているか、工学部を選んだ理由は何かなど、現在の状況を背景としてご自身の経験から発言と、工学部を目指す女子学生に向けたメッセージがありました。最後に現役の女子学生が登壇し、学生生活や就職、将来の話などについて「本音トークによる座談会」を行い、会場からも多くの質問があり、大変有意義なイベントとなりました。

産業上有用な大腸菌の新規固定化技術を開発

産業上有用な大腸菌の新規固定化技術を開発

▶生命分子工学専攻 堀 克敏 教授 ほか

微生物や酵素などの生体触媒を用いたバイオプロセスは、環境負荷の小さい物質生産技術として期待されています。堀克敏教授らは独自の材料であるAtaAと名付けられた接着蛋白質の毛を利用して、産業上有用な微生物である大腸菌を迅速簡便に担体に固定化する新手法を開発しました。固定化した微生物は連続的または繰り返し反応に利用でき、生産物との分離も容易になります。本研究成果は、バイオプロセスによるものづくりを加速し、カーボンニュートラルの実現に貢献することが期待されます。
▶ 詳細(PCサイト)へ

新物質と新原理素子の協奏が開く新たな科学と社会

新物質と新原理素子の協奏が開く新たな科学と社会

▶応用物理学専攻 竹延 大志 教授

応用物理学専攻の竹延大志教授の研究グループは、『新物資』と『新原理素子』の『掛け合わせ』により、基礎研究から応用研究までの幅広い研究分野に貢献する新現象・新機能の探索に挑戦しています。たとえば、層状物質であるグラファイトの単層膜であるグラフェンの発見により、近年では様々な層状物質の単層膜を組み合わせた『原子層物質』が新物質として注目を集めています。当研究グループでは『原子層科学』に関する研究プロジェクト(科研費・学術変革領域研究(A)・基盤研究(S)・基盤研究(A))を推進しています。また、本質的な可撓性を有する有機材料は、古くて新しいエレクトロニクス材料として注目を集めています。本研究グループでは有機材料を用いた発光素子や熱電変換素子に関するプロジェクト(JST・CREST、科研費・学術変革領域研究(A))を推進しています。今後も、新しい科学は、新しい物質と新原理素子により切り開かれると信じ、科学・社会への貢献を目指して研究を進めていきます。

理論計算、シミュレーション、AI、そして、高度先端計測技術を展開したマテリアル創出

超高速充放電の成果

“理論計算、シミュレーション、AI、そして、高度先端計測技術を展開したマテリアル創出”

▶材料デザイン工学専攻 山本 剛久 教授

材料デザイン工学専攻は、シンクロトロン光や超高分解能透過電子顕微鏡を展開する先端計測(髙嶋圭史教授、山本剛久教授)、マテリアルを計算機で設計し実現する先端理論計算(足立吉隆教授、君塚肇教授、小山敏幸教授、原田寛教授)、計測、理論グループと連携してマテリアルを創出する(入山恭寿教授)各グループから構成されており、物質プロセス工学・化学システム工学専攻と連携し、資源から社会実装までを包括する先端研究に取り組んでいます。図は入山恭寿教授らが最近見いだした黒鉛負極と固体電解質を組み合わせることで実現する超高速充放電の成果です(新学術領域研究(領域代表)、NEDO)。リチウムイオン電池は有機電解液を用いるため、黒鉛負極と電解液の界面で生じる溶媒分解や脱溶媒和過程が充放電反応速度を大きく低下させていましたが、全固体電池は固体電解質を用いるため、これらの阻害因子がなくなり、超高速充放電が可能となることを見いだしました。

ハイパーマテリアル-高次元物質科学の創出-

金属酸化物超薄膜(a)結晶 (b)準結晶 (c)近似結晶

ハイパーマテリアル-高次元物質科学の創出-

▶エネルギー理工学専攻 柚原 淳司 准教授

近年、結晶でもなくアモルファスでもない「準結晶」が発見されました。準結晶は、原子が周期的に並んでおらず、準周期性と呼ばれる特異な規則性に従って並んでいます。この特異な規則性は、高次元結晶(ハイパーマテリアル)から実空間への射影により記述されます。当初、金属間化合物で発見され、最近、金属酸化物においても準結晶が存在することが明らかとなりました。当研究グループは、希土類金属酸化物ハイパーマテリアルを世界に先駆けて創製しました。今後、構造の解明や物性の評価、さらにはエネルギー関連材料としての応用が大いに期待されます。

大電力機器・伝送システムの現象と特性を解き明かす

HFO-1234yfを混合した自然系ガスにおける高温下分解による生成化学種

大電力機器・伝送システムの現象と特性を解き明かす

▶電気工学専攻 横水 康伸 教授

大電力機器・伝送システムの特性・現象解明と高性能化を目的として、統計力学・物理化学・量子化学・大電流工学などの理論を複合適用させ、研究を進めています。これらの研究の一つでは、電力機器メーカーとの共同研究として、自然系分子とHFO系分子からなる混合ガスについて、大電流遮断プロセスにおける構成化学種の変化、ひいては高温下での電気絶縁耐力を見いだしています。ここでは、 HFO系分子の分子定数などを導出し、次いで、約100種に及ぶ多原子分子などの化学種に対して、独自考案した安定収束計算手法にて解に導いています。さらに、分析から主要な反応とその優先性、ひいては適正なHFO系ガス混合率を提案することに成功しています。

歴史から未来の防災を考える

令和元年東日本台風による長野県長野市の被害の状況(撮影:中村晋一郎)

歴史から未来の防災を考える

▶土木工学専攻 中村 晋一郎 准教授

土木工学は、インフラの整備と管理を通して、自然災害から人の暮らしを守り、社会・経済活動を支える基盤をつくるとともに、豊かな生活空間を実現するための学問です。よって、土木工学は自然と社会の両方を理解し、社会に対して適切なソリューションを提示していく必要があります。国土デザイン研究室では、自然と社会の相互作用に着目して、そのメカニズムを解明し、そこから得られた知見を用いた地域や国土のデザイン手法について研究しています。特に近年では、気候変動の影響も相まって洪水や土砂災害等の水災害が各地で頻発しており、新たな治水対策の検討が焦眉の課題となっています。中村晋一郎准教授は、日本の治水対策に着目し、その手法が、いつ、どのような経緯で構築され、それが自然災害や社会要請とともにどのように変容してきたのかを、歴史的な史料や長期データを用いて明らかにしました。その成果は書籍として出版され、令和2年度土木学会出版文化賞など三つの賞を受賞しました。

小惑星リュウグウの熱物性を独自技術で分析

リュウグウ熱物性計測装置および位相データ

小惑星リュウグウの熱物性を独自技術で分析

▶機械システム工学専攻 長野 方星 教授

小惑星リュウグウの表層から探査機「はやぶさ2」が採取し持ち帰った粒子の熱拡散率を、独自に開発したロックインサーモグラフィ式周期加熱法を用いて非接触で計測することに成功しました。得られた熱慣性(物質の熱しやすさの指標)は、リュウグウの表層よりも3倍以上大きく、リュウグウ表層内には熱遮蔽効果を持つ多数の亀裂の存在が示唆されます。本計測データは太陽系の成り立ちの解明へと繋がることが期待されています。本研究成果は、はやぶさ2初期分析チームの成果の一部として科学雑誌Scienceに掲載されました。
▶ 詳細(PDF)へ

地球温暖化と都市発展がもたらす暑さの将来予測:インドネシア・ジャカルタを対象として

インドネシア・ジャカルタの将来都市計画

地球温暖化と都市発展がもたらす暑さの将来予測:インドネシア・ジャカルタを対象として

暑熱環境予測

地球温暖化と都市発展がもたらす暑さの将来予測:インドネシア・ジャカルタを対象として

▶環境学研究科 都市環境学専攻 飯塚 悟 教授

世界中の過半数以上の人々が生活を営む「都市」では、地球温暖化とヒートアイランドと呼ばれる都市固有の温暖化のダブルパンチにより、暑さが増しています。地球温暖化はますます深刻さを増し、さらに、東南アジア諸国などの成長著しい国々の都市では、その発展に伴い、ヒートアイランドも進行する一方です。このような暑さは、快・不快の範疇を遥かに超えて、人間健康を著しく害する「危険な暑さ」となってきています。 私たちの研究室では、成長国都市の1つであるインドネシア・ジャカルタを対象として、地球温暖化の進行下かつ都市発展が進む状況下で、 都市の暑さがどのような状態になっていくかを最新鋭のコンピュータシミュレーションを駆使して予測し(図)、さらに、その暑さを緩和する策やその暑さに適応する策の導入検討を行っています。

学び
MAP

Message

工学部長・工学研究科長
宮﨑 誠一

「工学」は、科学を人や社会に役立つ技術へと展開する総合的な学問分野です。その対象は、化学、物理、材料、電気、機械、エネルギー、建築、土木など多岐にわたっています。
産業革命以降、機械化と共にものづくりはめざましい進展を遂げ、それにともなって人々の生活も大きく様変わりしました。一方、現在に至るまでに地球環境問題や化石燃料や資源の大量消費と枯渇などの問題もクローズアップされています。また、工学の担う範囲は、従来の分野だけでなく、医療や創薬、エネルギーや環境、あるいは防災など、大きく広がってきています。最近では、人工知能の急速な高度化が、近い将来、人々の生活や社会構造を大きく変えようともしています。
このような情勢の中で、より高いレベルで「工学」を修め、世界のものづくりのリーダーとして皆さんに活躍していただきたいと願っています。
名古屋大学は門のない開かれたキャンパスが特徴です。緑あふれるキャンパスで、私たちと共に「工学」を学び、直面する課題に果敢に挑戦し、工学分野で「勇気ある知識人」として、赤﨑先生や天野先生に続きましょう。
すばらしい研究成果を皆さんと共に世界に向けて発信できることを楽しみにしています。

ノーベル賞受賞者を生み出した自由闊達な学風の下で実施する
Basics ‒ Specialization - Innovation 教育

より良い工学系人材・勇気ある知識人の育成

世界を代表するものづくり産業の集積地である中部地区の中心的研究大学として、より良い工学系人材育成の期待に応えるため、工学基礎教育を重視すると共に、専門性と総合性を備えた人材育成を目的とした教育組織とカリキュラムを再編成し、学部及び大学院を一体で2017年に改組しました。
グローバリゼーションが加速する国際情勢、新しい価値創造や技術革新をもたらす人材育成の急務化、年齢分布が逆ピラミッド型に変わってゆく状況における社会的なニーズなどの工学分野をめぐる情勢に対応します。
理工系人材育成の必要性を踏まえ、工学全般の分野を網羅した学科・専攻とし、博士人材の育成に繋げます。
育成する人材像(教育目標)

工学部

工学を拓くための学力および資質・能力を備え、
科学に対する強い興味をもとに社会に貢献する人を育てます。

大学院工学研究科

次世代の「工学・技術」を創造・牽引する能力を有し、
(豊かな)専門性と同時に(高度な)総合性と、
(広い)国際的な視野を併せもった、研究者・技術者を育てます。
※( )は、後期課程に付加

学科紹介

化学生命工学科
物理工学科
マテリアル工学科
電気電子情報工学科
機械・航空宇宙工学科
エネルギー理工学科
環境土木・建築学科

卒業生からのメッセージ

 

西田 竹德さん

西田 竹德さん

住友化学株式会社
エネルギー・機能材料研究所

仮説を立てて検証する。広い視野で考察する習慣が、今の礎に。

博士後期課程までの9年間、名大で過ごした日々が私の人生に与えた影響が大きいことは言うまでもありません。特に入学時には考えていなかったドクター進学という選択は私の人生の一大イベントでした。
研究テーマは持続可能な社会の形成のため近年開発が進んでいる、植物由来化合物を原料とした新規バイオベースポリマーの創出でした。これまでの座学に対し、研究室では自ら仮説を立てて検証していくことに楽しさを覚えました。次第に先生方のように、高分子合成がちゃんと「専門」であると胸を張れるようになりたいと思ったことがドクター進学の決め手でした。わからない実験結果に対し「なぜ?」と繰り返し考察することは時に苦痛でしたが、「原理原則に基づいて考える」という先生の教えの下、問題を切り分けて広い視野で考察する習慣は研究者として私の礎になっています。
会社では熱エネルギーの制御に有用な高分子蓄熱材の開発を行っています。建材等に用いることで生活に快適な温度を保つことができ、エアコンの消費電力抑制にも効果があります。仕事では自分の専門外の内容も多く扱いますが、在学中に培った思考力はどんな分野であっても活用できるので大いに役立っています。みなさんも人生に大きな影響を与えてくれる人や研究にぜひ名大で出会ってください。

西田 竹德さん西田 竹德さん


閉じる
 

山田 香央里さん

山田 香央里さん

株式会社島津製作所 基盤技術研究所
バイオインダストリーユニットバイオグループ

多分野の知識を融合させる。名大での経験が大切な研究姿勢に。

人や社会に役立つことをしたい、それなら医療分野だ! そしてモノづくりでならより広く人や社会に貢献できるのでは? と思い立ち、名大の旧化学・生物工学科に入学しました。
1~3年次は友人と助け合いながら化学・生物の講義についていったことを覚えています。研究室では、念願の医療分野に携わることができ、再生医療応用を目的とし、ナノ粒子を用いた幹細胞のイメージングや温度センシングについて研究しました。研究が生物、分析、量子…と多岐にわたっていたため、4年次からも1~3年次と同じように様々な分野の方と協力しながら研究していました。
今の会社には、何をおいても「科学技術で社会に貢献」を大切にするところに惹かれ入社しました。現在は、バイオ医薬品製造に向けた、LCMSによる細胞の代謝物分析・解析の研究に携わっています。ここでも様々な分野の知識が必要となり、学生時代同様、周りの人を頼りながら勉強する日々です。(また、子供が生まれ復帰したばかりなので、育児も仕事も周りを頼りつつ頑張っています。)研究には様々な分野の融合が重要だと日々感じています。ぜひ皆さんも名大で多くの頼れる友人・先生方と出会い、どんどんご自分の可能性を広げてください!

山田 香央里さん山田 香央里さん


閉じる
 
 

野村 優貴さん

野村 優貴さん

一般財団法人ファインセラミックスセンター
ナノ構造研究所 上級研究員

高度な知識と技術に加え、人との交流があなたの強みに。

私は名古屋大学で9年間学び、さまざまな経験を積んできました。学生時代、サッカーサークルに所属し、素晴らしい友達との出会いを通して楽しい時間を過ごしました。それらの経験は、今でも大切な思い出として心に残っています。学部4年次と大学院2年間は透過電子顕微鏡の研究室で半導体の解析に専念しました。子供の頃から細かいことや小さいものを触るのが好きだった私にとって、ミクロな世界での研究は楽しく充実したものでした。高校生時代、自分は不真面目で、勉強や研究が好きだという自覚は全くなかったのですが、名古屋大学での勉学・生活を通じてその楽しさを実感することができました。修士課程を修了後、私は民間企業の研究所に約10年間勤務しました。大学とは異なり、商品化という大きな目標を持つ組織での研究は、新たな楽しさややりがいを感じることができました。企業に在籍中、名古屋大学の社会人博士課程で学位も取得しました。現在はファインセラミックスセンターという電子顕微鏡を用いた材料解析の仕事に従事しています。この記事を読んでくださっている高校生の皆さんには、名古屋大学での充実した学びや出会いを通じて、自分の夢や目標に向かって進む力を身につけてほしいと願っています。名古屋大学では、さまざまな分野の専門知識や技術を学ぶことができるだけでなく、多様な学生同士の交流を通じて貴重な人間関係を築くことができます。これらの経験は、皆さんにとって大きな強みとなることでしょう。皆さんも大学で経験を積み、自分の夢をかなえるための一歩を踏み出してください。

野村 優貴さん野村 優貴さん
大学の夏休みに自転車で北海道を縦断したときの写真です。


閉じる
 

水野りらさん

水野りらさん

株式会社デンソー
センシングシステム技術1部 技術職

大学で学んだ、自分で手を動かすことの大切さを日々実感。

研究室では、透過型電子顕微鏡とレーザー光学系を用いて、金ナノ粒子に光を入射させたときの過渡応答を研究しました。この研究では、評価以前の環境構築が労力の大半を占めており、修論提出期限までに環境構築が間に合うのか……と不安だらけの毎日でした。やっとの思いで環境構築を完成させ、最初の評価で結果を出せたときの安堵感は、今もはっきりと覚えています。この体験で身につけた、根気強く物事に取り組み考え抜く態度は、今も生きていると感じます。現在の担当業務は、電動自動車向けセンサの耐ノイズ設計。自動車部品は、テレビ・ラジオ放送の送信アンテナや車内の携帯電話といった外部ノイズの影響を受け、誤動作や故障する危険性を持っています。運転中の誤動作は、生命に関わる事故に直結するため、耐ノイズ性能は、自動車の安全性に関わる重要な要素として、やりがいを持って取り組んでいます。大学で指導された「自分で手を動かす」という考え方は今も大切にしています。例えば、シミュレーションに加えて実機評価も自分で行うことで、見落とされがちな事実を発見できることがあります。研究室の先生から教わった仕事に取り組む考え方の大切さを実感する毎日です。今後も現在の業務を深掘りして専門性を高めることで、より性能が優れ製造しやすいセンサの開発をめざします。

水野りらさん水野りらさん
大学のよさこいサークルに所属。大勢で協力してひとつの演目を作り上げる、貴重な経験ができました。


閉じる
 
 

鈴木 飛鳥さん

鈴木 飛鳥さん

東海国立大学機構名古屋大学
大学院工学研究科
物質プロセス工学専攻 助教

「大学の研究者」を選ぶ決心と、選んだその先。

「大学の研究者」の道を視野に入れ始めたのは、4年生のときの卒業研究がきっかけでした。水素のみを透過する金属の膜に関する研究だったのですが、その特性を記述する方程式として従来とは異なる式を使うと、綺麗に結果を整理できることに気づいたのです。これによってアカデミックなことを突き詰める楽しさを覚えました。とはいえ、昨今ではほとんどの学生が進学しない博士課程に進む際は、将来的な不安から非常に悩みました。しかし、就職活動で大学での研究以上に自分の興味を引くものがなかったことから、進学を決心しました。運よく論文を出しやすい分野だったこともあり、博士号を1.5年ほど短縮で取得することができて、今のポストを得ることができました。
現在は学生の頃とは異なる研究分野で、研究者としての見聞を広げつつ自分の分野を確立しようとしています。主に、機械学習などを活用して、材料を作るための複雑なプロセスの最適化や複雑な構造を持つ材料の特性予測に取り組んでいます。大学は、世の中の技術の基盤となる学理を探求できる場であり、常に新しいことに触れていられるので、今はこの道に進んで良かったと思っています。ぜひ皆さんも周囲に流されずに自分の意志で興味ある道へチャレンジしてください!

鈴木 飛鳥さん鈴木 飛鳥さん


閉じる
 

村松 美穂さん

村松 美穂さん

株式会社エドギフト代表取締役兼
株式会社リクルート

「幼少期からものを生み出す楽しさを」在学中に会社を設立。

とことんものづくりがしたい、そんな想いで選んだ工学部。学部時代はロケットサークルに所属してロケット開発に没頭し、4年次からは鉄に関する研究室に所属していました。また同時に、新しいものを創る楽しさをたくさんの人に届けたいと思い修士2年の時に株式会社エドギフトという教育系の会社を立ち上げました。エドギフトでは、「幼少期から新しいモノを生み出す楽しさに触れてほしい」という想いで子供向けの組み立ておもちゃTEGUMII(テグミー)の開発販売を行なっています。
修了後は、エドギフトを続けるとともに、株式会社リクルートでサービス開発に関わる仕事をしており、兼業の体制をとっています。大きな組織に所属することで得られる経験や出会いがたくさんあり刺激的な毎日を送っています。どちらの会社の仕事も大学の研究分野とは異なりますが、現在の私の挑戦の糧となっているのはサークルや研究を通して「失敗しながらも試行錯誤を繰り返す、新しいことに触れて考え抜くことで新たな発想につながる」楽しさを学んだことです。目の前のことに熱中し楽しむことで、それまでの自分では考えられなかった世界が広がりました。大学は学業だけではない面白いことがたくさんあります。ぜひ多くの人との出会いや経験を楽しんでください!

村松 美穂さん村松 美穂さん


閉じる
 
 

鈴木 陽香さん

鈴木 陽香さん

名古屋大学 大学院工学研究科
電子工学専攻 講師

不可能を可能に。そして現実の製品に。それが工学研究の喜び。

好きな物理を社会に役立てたいと選んだ工学部。音楽系サークルの活動や家庭教師のアルバイトに挑戦し、選択科目の講義はまず一とおり受けてみて興味に合ったものを受講するなど、大学内外のいろいろなことに目を向ける中で夢中になったのは、プラズマの研究でした。学部~修士時代の研究テーマは、不安定要素の多い液体表面とプラズマとの反応の解明。めざした成果には到達できませんでしたが、前例のない研究は意欲をかき立て、国内の学会での発表やイギリスへの交換留学も経験して視野を広げることができました。

修了後は就職も考えましたが、それ以上に強かったのは、研究を続け成果を出したいという思い。博士課程以降は、高密度のプラズマを均一に広範囲で照射できる大気圧プラズマ装置の開発に取り組んでいます。もともと私がプラズマに惹かれた大きな理由は、応用のために電気や化学・機械・物性の幅広い知識を駆使する点。まさにそれができる研究で、独自の装置を開発し、企業と共同で数年後の半導体製造現場などでの実用化をめざしています。学部時代に進路指導の先生から、その自由度や女性研究者への期待を聞いて惹かれた研究の道で、不可能を可能に変え製品として現実の形にできる、工学研究の喜びを味わっています。

鈴木 陽香さん鈴木 陽香さん


閉じる
 

今井 瞳さん

今井 瞳さん

ヤフー株式会社
電力ネットワークカンパニー
広告プロダクション本部 デザイナー

どんな知識や経験も、考え方ひとつで自分の強みに変えられる。

子供の頃からインターネットが好きで、プログラミングにも少し興味があったので、電気電子・情報工学科、そして計算理工学専攻を選択しました。講義を受けるまではHTMLを少し触ったことがある程度でプログラムを組むことは全くできませんでしたが、課題をこなしたり、周りのメンバーに教えてもらったりしながらコードが書けるようになり、さらに研究室ではプログラミングでデータを分析して、どう活かすかを考える力が身につきました。研究室ではエンジニアになる方がほとんどでしたが、絵を描くのが好きだったこともあり、見せ方の部分にも携われる仕事がしたいと思い、デザイナーを選択しました。Illustratorも使ったことのないままデザイナーとして働けるのかという不安はありましたが、研修中にツールの基礎を学び、今ではレビューも行えるようになりました。また、Webページの制作では、数値を根拠に構成を考えることも多いため、データ分析ができるデザイナーというのは強みになったなと感じています。どんな経験や知識も、考え方次第で活かせるものに変わると思います。やって損ということはあまりないので、興味のあることにはどんどんチャレンジしてみてください!

今井 瞳
ソフトボール部の大会での写真です。今も社会人チームで続けています。


閉じる
 
 

劉 暁旭さん

劉 暁旭さん

名古屋工業大学
電気・機械工学科 助教

多くの出会いと挑戦を糧に、日本で研究を続ける道へ。

中国・北京で修士課程に在学していた時、多くの国際会議への参加が刺激となり、海外で博士課程に進もうと決心しました。日本を選んだのは、機械の研究分野のレベルが世界的に高いから。その中でも名古屋大学を選んだのは、製造業の中心地である東海地方に位置し、学術的雰囲気が強いからでした。名古屋大学で取り組んだのは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜のトライボロジー特性に関する研究。初めの頃は、日本語の会話もままならず困難も多かったのですが、先生や仲間が熱心に助けてくれました。研究を楽しむ仲間の姿勢に影響を受け、トライボロジーに魅了されるように。国内外の学会に数多く参加して、研究者の方々から多くの助言をいただくほか、企業との交流会で代表学生として研究発表を行い、日本の高い技術力にふれて感銘を受けました。こうした多くの経験を通して、トライボロジーの社会的意義を深く理解すると同時に、研究室の先生方への敬意も深まり、日本の大学で研究を続ける道を選択しました。
現在の研究目標は、「自動車エンジンのより低燃費化」と「切削工具の切削性能の向上と長寿命化」。独自の研究に挑戦し、国際的な学術活動を促進したいと考えています。さあ、あなたも名古屋大学で「勇気ある知識人」になりましょう!


閉じる
 

堀部 貴雅さん

堀部 貴雅さん

株式会社ティアフォー
技術開発本部

ライバルは大企業。ベンチャー企業で世界の最前線へ。

漠然と宇宙の勉強がしたいと選んだ機械航空工学科。振り返れば、宇宙開発サークルの立ち上げ、アメリカへの研究留学など、多くの経験をしました。
数学が機械の動きに直結する面白さに魅了され、研究室は制御研を選択。最初のテーマは「倒立振子」と呼ばれるロケットに見立てた一本の棒を制御することでした。しかし当初の実験は失敗の連続。理論的には合っているはず…と暗い顔で机上の数式を見つめる私に、同期から「今から一緒に100回実験するぞ」と提案され、なんとその日に実験は成功。結果を解析すると、気にも留めていなかったセンサーに問題があったことが発覚。なるほど、こういう研究の進め方もあるのか、と自分の考え方が変わった瞬間でした。名大の生活はこのような「自分の知らない世界を見せてくれる人たちとの出会い」との連続でした。
現在はベンチャー企業で自動運転の開発を行っています。複雑な道路環境でどのように車両を制御するか。自動運転は様々な技術の集約であり、制御理論や数理最適化、機械学習、ソフトウェア工学などと言った幅広い分野の知識が必要となります。数式やプログラムと対峙する一方で、困ったらとりあえず実験してみることも。ライバルはGoogleやTeslaといった大企業。技術者として世界の最前線で戦うことができる環境を楽しんでいます。

堀部 貴雅さん堀部 貴雅さん


閉じる
 
 

多田 健一さん

多田 健一さん

(国研)日本原子力研究開発機構
原子力基礎工学研究センター
炉物理標準コード研究グループ
研究副主幹

自分の直感を信じてやりたいことをトコトン追及!

名大を選んだ動機は『核融合炉開発に携わりたい』でした。講義を聞くうちに核分裂に興味が移り、『原子炉の中を見てみたい』という興味から研究室を選びました。

就職か博士課程進学かは悩みましたが、『今の研究が面白いので突き詰めたい』という真面目な思いと、『スイスで開催される国際会議に出たい』という俗物的な思いから進学を決めました。このように私は今まで自分の直感を信じて進路を選んできました。福島第一原子力発電所事故など、自分の価値観が揺らぐこともありましたが、『原子力は日本のエネルギー源として重要』という信念を胸に研究開発を進めています。

私は現在、基礎的な物性データである核データ評価と、被ばく量評価や原子炉設計等の解析コードを繋ぐ核データ処理の高度化に取り組んでいます。世界的にもこの分野の研究者は少なく、日本では私一人です。最初は専門外で戸惑うことも多かったのですが、大学で学んだ『面白そうなこと』を見つけてトコトン追及するという教えが、今の研究を支えてくれています。幸いにも名大には学生のやりたいにトコトン付き合ってくれる先生が大勢います。是非とも自分の直感を信じて、自分の道を突き進んでください!!

多田 健一さん多田 健一さん


閉じる
 

内村 星央さん

内村 星央さん

三菱重工サーマルシステムズ株式会社
空調機技術部
マルチパッケージエアコン設計G

多くの出会いで広がった視野で、モノづくり全体を動かしたい。

ノーベル賞受賞者を多く輩出する研究環境に惹かれて入学した名大に待っていたのは、数多くの出会いでした。原子力発電所の使用済燃料の再処理に伴って発生する高レベル放射性廃液の処分に使う材料の研究では、机上の検討を実験に移すため、何度も先生方の助言を仰ぎ、仲間と議論して、方針を決定。試行錯誤をしながらも、予測した結果が得られる達成感を味わいました。留学生が比較的多い名大では、研究アシスタントを務める経験もしました。英語でディスカッションをしながら実験を進め、想定どおりの結果にならないときには一緒に解決策を模索する中で、コミュニケーション力が高まっていくのを実感。それだけでなく、自分自身の研究と並行して留学生の研究を手伝うためのスケジュール管理能力もつき、大きな成長につながりました。現在、私が携わっているのは、ビルやホテルの各個室を一括管理できるエアコン室外機の開発です。大きすぎず全体を見渡せる規模の製品に、広い裁量を与えられ開発の計画段階から量産まで関われることに、魅力を感じています。ゆくゆくは開発リーダーとして「自分が手掛けた」と言える製品を世に送り出すことが目標。名大で多くの人と出会い、文化の異なる相手とも接して得た広い視野は、大きな力になるはずです。

内村 星央さん内村 星央さん


閉じる
 
 

吉川 高広さん

吉川 高広さん

名古屋大学
大学院工学研究科 土木工学専攻 助教

自然を相手にする面白さと難しさに満ちた土木工学の世界。

私が小学生のときに京都議定書が採択されるなど地球温暖化問題が大きく取り上げられ始めました。当初は環境問題に取り組みたいと考えて、名古屋大学工学部社会環境工学科(現:環境土木・建築学科)に入学しました。学部2年次に社会資本工学コース(現:環境土木工学プログラム)を選択後は、基礎を重んじる名大土木の講義のおかげで、構造・水工・地盤・計画・環境系と多岐にわたる土木工学のどの分野にも興味を持ち始めました。学部4年次に地盤系の研究室に入り、博士後期課程を経て、現在に至ります。土木工学の中には皆さんの興味を引く分野があると思います。私のように興味の幅が広がるかもしれません。自然を相手にする面白さ・難しさがあり、研究してもしきれないと感じる毎日です。現在は、降雨時の自然斜面や盛土の崩壊に関する研究に取り組み、熱海土石流災害における盛土の崩壊メカニズム解明の一端を担いました。直接的に社会に貢献するため、大きなやりがいを感じるとともに、災害時には無力さを痛感することも多いです。当初は興味がなかったことでも、いざ真剣に取り組んでみると面白かった、ということはあると思います。勉学、部活動・サークル活動など、さまざまなことに一生懸命取り組んで、自分の世界を広げていってください。

吉川 高広さん吉川 高広さん
修士課程2年生のときの研究室の集合写真。大所帯のためゼミや懇親会はいつも大盛り上がり。私はノリが学生です!


閉じる
 

李 燕さん

李 燕さん

名古屋大学
大学院工学研究科 講師

設計や研究活動を通じて、自分の可能性に挑み続ける。

小さいときから積み木やダンボールで建物の模型をつくるのが好きだったので、中国の大学で建築学を専攻し、建築設計を学びました。学部の近代建築史の授業をきっかけに、丹下健三や谷口吉生、安藤忠雄などの日本建築家に憧れ、日本に留学することを決めました。学部のとき、設計で最も重視したことは見た目の格好いい建築を作ることでした。しかし、来日してさまざまな建築と場所を訪れる中、「人」を中心とした空間の在り方を考えるようになり、物理的な形態だけではなく、人々の豊な暮らしを支える建築を作りたいと思いました。その思いをもって、卒業後は組織設計事務所に就職し、住宅や商業施設、公共建築などの幅広い設計業務に関わり、図面上でラインを引く段階からそれを物理的に実現させる全過程を経験しました。一方で、設計者として、各プロジェクトに求められる物理的な建築物を実現するだけではなく、建物の使われ方や提供プログラムまで踏み込んだ提案もしたいと思いました。つまり、「どのように」ではなく、「何のための」建築を作るかを提案したいと思い、今は大学の研究者として公共建築の再編について研究しています。設計や研究活動など、一つに限られることなく、これからも自分の可能性に挑みながら、より良い建築を提案して行きます。

李 燕さん李 燕さん
ロンドンで住民が運営する図書館を視察しました。


閉じる