開始時刻 | A会場(豊田講堂地下1階) | B会場(豊田講堂3階) | ||||
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タイトル | 講師 | タイトル | 講師 | |||
11:40 | 人工酵素への挑戦:レディメイドからテーラーメイドへ | 石原 一彰 | 「太陽エネルギー社会」構築に向けた材料テクノロジーの創出 | 河本 邦仁 | ||
12:00 | 次世代熱エネルギー輸送・冷却技術 ~ループヒートパイプ~ | 長野 方星 | グリーンイノベーションを指向する機能表面・創製技術の最先端 | 梅原 徳次 | ||
12:20 | 休憩 | |||||
13:10 | 最 先 端 ・ 次 世 代 | 植物由来モノマー群の精密重合による新規バイオベースポリマーの構築 | 上垣外 正己 | G V | グリーンビークル材料研究開発拠点の機能と産学連携研究の展開 | 齋藤 永宏 |
13:30 | イオン性非金属触媒を活かしたものづくり | 大井 貴史 | グリーンビークル超軽量化に向けた革新的材料加工技術の開発 | 石川 孝司 | ||
13:50 | ペプチドアレイを用いた食物アレルギー高精度診断法の開発 | 大河内 美奈 | グリーンビークルの小型高効率電力変換を可能にする次世代パワーデバイス用材料(SiC基板)の開発 | 宇治原 徹 | ||
14:10 | 休憩 | |||||
14:30 | 新規低毒性半導体ナノ粒子の合成と光機能材料への応用 | 鳥本 司 | ソリューションプラズマ化学反応によるグリーンビークル革新材料の創製 | 是津 信行 | ||
14:50 | バクテリオナノファイバーによる革新的微生物固定化法 | 堀 克敏 | レアメタル・レアアースを含む、グリーンビークルのマテリアルリサイクル技術の開発 | 藤澤 敏治 | ||
15:10 | ナノバイオデバイスが拓く先端医療 | 小野島 大介 | 動き出す中部シンクロトロン光利用施設 | 髙嶋 圭史 | ||
15:30 | 超高感度磁気センサの開発とバイオ・医療センシング応用 | 内山 剛 | テキストデータの見える化技術 | 古橋 武 | ||
15:50 | 電子顕微鏡によるナノ解析支援 | 坂 公恭 | 自由視点テレビFTV -究極の3Dテレビを目指して- | 藤井 俊彰 | ||
16:10 | 海外技術シーズの紹介 | 阿部 正廣 | 化学集積素子 ― 化学と半導体との融合 | 中里 和郎 | ||
16:30 | 微粒子分散系の新世界 | 浅井 一輝 |
石原 一彰教授(工学研究科)
私たちの研究室では、有機反応を自在に操る高機能触媒を創出するための方法論の確立を目指しています。これは天然酵素を凌駕する高機能触媒の開発に他ならないものです。現在、我々は従来型のレディメイド触媒の開発から、反応基質に特異的なテーラーメイド触媒の開発へとパラダイムシフトする過渡期にあります。今回はテーラーメイド触媒開発の意義について紹介します。
長野 方星講師(工学研究科)
省エネが強く望まれる今日において、高効率熱エネルギー輸送・冷却技術は民生、産業、運輸、航空宇宙の全分野にまたがる重要な研究開発課題です。今回は電力を用いずに半永久的な熱輸送が可能なループヒートパイプ技術とその応用展開についてお話しします。
上垣外 正己教授(工学研究科)
高分子化合物は、プラスチック・ゴム・繊維などとして現代社会を支える必要不可欠な化合物であり、その多くは石油資源から得られる有機化合物を重合することにより合成されているが、近年、再生可能資源に基づく循環型社会の構築が重要視されてきています。本講演では、植物から得られるテルペン類やフェニルプロパノイド類などの多様な植物由来ビニル化合物を精密重合する方法を開発し、これら植物由来化合物の特有な骨格を活かしたポリマーを合成することで、機能や性能に優れた新規バイオベースポリマーへと導く、私たちの研究室の取り組みを紹介します。
大井 貴史教授(工学研究科)
私達の生活の中には、有機分子が溢れています。医薬や化粧品、香料、さらには衣類等の、暮らしに欠かせない製品が好例です。これらは天然の原料からつくることができますが、実はその過程は多くのゴミを排出し環境に大きな負担をかけています。この根底には、現代化学の力を駆使しても、欲しいものだけをつくることが困難という問題があります。私たちのグループは、化学反応を思うように促進するための「イオン性非金属触媒」の創製を軸に、地球にやさしい化学合成の実現を目指して研究に取り組んでいます。本講演では、その最新の成果について解説します。
大河内 美奈准教授(工学研究科)
アレルギー疾患は近年増加の一途をたどり、食物アレルギーでは乳児の10%に達します。現行のタンパク質レベルでの抗原特異的IgE抗体検査では、偽陽性が多く回避すべき抗原の判断が難しい問題があります。私たちの研究では、主要抗原タンパク質のペプチドライブラリーをアレイ上に固定化したペプチドアレイを作製し、ペプチドレベルで抗体エピトープ解析を行っています。食物アレルギーの中でも乳児において最初に食されるミルクに着目し、主要抗原6種類のアミノ酸配列をもとにミルクペプチドアレイを作製し、愛知県内の病院を受診した患者を解析した結果、正診率の高い検査法となることが示されましたので紹介します。
鳥本 司教授(工学研究科)
粒子サイズが10nm以下の半導体ナノ粒子は、単結晶などのより大きな材料とは異なった物理化学特性を示し、さらにサイズに依存して大きく変化します。このようなナノ粒子の変調可能な特性を利用して、新規光機能材料の開発が盛んに行われています。しかし、従来の半導体ナノ粒子は、Cd、 Pb、 Seなどの毒性の高い元素を含むためにその用途が厳しく制限されます。私たちは、広い応用が可能な半導体ナノ粒子の作製をめざし、低毒性元素からなるZnS-AgInS2固溶体ナノ粒子の液相化学合成に成功しました。本講演では、粒子作製法を概説し、得られたナノ粒子の発光材料や太陽電池の光吸収材料としての有用性を解説します。
堀 克敏教授(工学研究科)
最先端・次世代研究開発支援プロジェクトの採択課題「バクテリオナノファイバー蛋白質の機能を基盤とする界面微生物プロセスの構築」の内容についてわかりやすく説明します。具体的には、非特異的で高い付着性をもたらす新規の粘着性バクテリオナノファイバー蛋白質の特徴と、この蛋白質を利用して任意のグラム陰性細菌に付着性と自己凝集性を付与する技術について紹介します。本技術は、バイオマスエネルギーや化学品、モノマーなどの効率的な微生物生産のための基盤技術となり得る可能性があります。
小野島 大介特任助教(工学研究科)
私たちの研究室では癌や感染症をいつでも・どこでも診断できる手のひらサイズのデバイスの技術開発を行っています。この技術は医療における診断や治療に革新を起こすだけでなく、予防を進めて健康で幸福に長生きできる社会に貢献します。今回は現在までに我々が開発を行ってきたチップデバイスの一部を解説し、それらのデバイスによるDNA・タンパク質の超高速・高感度測定や極微量の血液検査の実現に向けた取り組みを紹介します。
内山 剛准教授(工学研究科)
アモルファスワイヤ磁気インピーダンス(MI)素子を利用した磁気センサは、携帯電話やスマートフォン用の電子コンパスとして実用化されています。今回はアモルファスワイヤMI素子を利用した超高感度磁気センサについて、ピコテスラオーダー(pT)の微弱な生体磁気信号をシールドレスで検出する技術の開発と、その応用として、細胞組織の機能や、心臓や脳の電気的活動を非接触で評価する技術について、名古屋大学医学研究科との共同研究の概要を紹介します。
坂 公恭特任教授(エコトピア科学研究所)
高性能電子顕微鏡群によるナノ・バイオサイエンス支援事業は、名古屋大学が保有する高性能電子顕微鏡群を広く産業界に開放することにより我が国の「物造り」を支援する事業で、専任のスタッフによって推進されています。そのため、「①懇切丁寧な支援」「②短い納期」「③完全な守秘」などの特徴があります。本講演では、具体的な利用例、利用方法などを紹介します。
阿部 正廣特任教授(産学官連携推進本部)
名古屋大学産学官連携推進本部国際連携部は、本学と協力関係にある海外の大学・研究機関の技術シーズを国内企業に紹介する事業を行っています。本講演では、米国ノースカロライナの大学とフィンランド技術開発研究センター(VTT)の技術シーズを紹介します。
河本 邦仁教授(工学研究科)
環境破壊・温暖化・気候変動・地球崩壊を回避して生命力溢れる地球を取り戻すためには、化石燃料依存型社会から一刻も早く脱皮し、原子力エネルギー依存から大きく方針転換して、無限に存在するクリーンな自然エネルギーを最大限活用する「太陽エネルギー社会」の実現を目指さねばなりません。工学研究科附属バックキャストテクノロジー研究センターは、「太陽エネルギー社会」を人類が目指す未来の理想社会と位置づけ、これを構築するために必要な「バックキャスト視点に基づく材料テクノロジー」を開拓します。具体的には、(1)光・熱・力学エネルギー変換・貯蔵・輸送技術に資する高機能材料、(2)低環境負荷型物質・材料製造プロセス、(3)高機能代替材料、等の研究開発を先導します。
梅原 徳次教授(工学研究科)
次世代トライボロジー材料として潤滑油不要で超低摩擦となる窒化炭素膜(CNx膜)を紹介します。また、マイクロ金型や高度小型機械部品のに適用するための基礎技術として、直径1mm、長さ50mmといった細管内面への新しいコーティング法を紹介します。
齋藤 永宏教授(グリーンモビリティ連携研究センター)
低炭素化、自然共生および安全・安心など、地球規模の課題解決に人類の英知が問われている中で、名古屋大学は究極的な「創エネ」、「省エネ」、「資源循環」、「安全」を追求する未来自動車「グリーンビークル」の実現に向けて「グリーンビークル材料研究開発拠点」を開設しました。本講演では、同拠点の機能・活動計画と最大の特徴とする「擦り合わせ」による産官学研究の進め方について紹介します。
石川 孝司教授(工学研究科)
低炭素社会を先導する未来自動車「グリーンビークル」の実現に向けた重要課題の一つは車両の軽量化です。超ハイテン等、軽量化を目指す材料開発が活発化する一方で、材料の延性低下により自動車への適用に困難さが高まっています。本講演では、主として鉄鋼材料の高度加工技術を中心に軽量化を促進する新技術について計算モデルと実験による、基礎から実用までの研究開発を紹介します。
宇治原 徹教授(工学研究科)
未来自動車「グリーンビークル」は低炭素化実現のため電池から供給される電気エネルギーを使用してモータを駆動する電動方式が主流になります。その中で電力変換を担うパワーデバイスは高耐久性と小型化が一段と高いレベルで要求され、従来のSi材料ではそれらの要求を満足できません。本講演では次世代パワーデバイス材料として大きな期待が寄せられているSiC結晶材料について欠陥密度を飛躍的に低減可能な溶液成長法による開発技術を紹介します。
是津 信行准教授(グリーンモビリティ連携研究センター)
「グリーンビークル」が未来のモビリティを担うには様々なイノベーションが必要とされ、従来にない革新材料の創製が求められています。名古屋大学はソリューションプラズマ反応場形成に世界で初めて成功し、同プロセスによりナノ物質創成が可能になることを発見し、新材料開発を進めています。本講演ではソリューションプラズマ反応を用いた白金ナノクラスター触媒創製、熱可塑性ナノコンポジット用高性能フィラー等の開発について紹介します。
藤澤 敏治教授(工学研究科)
「グリーンビークル」に多用されるレアメタル、レアアース等の希少資源は、産出国が偏在していることから価格高騰と供給障害がおこる恐れが潜在的にあるほか、海外の鉱山では深刻な環境破壊も進んでいるという問題もあります。本講演ではレアメタル類の優れた機能を活かした材料をリサイクルする技術の開発、および筐体・基板として同時に使用されるプラスチック類の安全処理に関する技術開発について紹介します。
髙嶋 圭史教授(工学研究科)
シンクロトロン光とは、電子加速器から作り出される非常に高強度、高密度な電磁波のことであり、赤外線からX線までの幅広い波長を含んでいます。これを利用することで、物質、材料のさまざまなミクロの情報を得ることが可能であり、ものづくりへの応用が期待されています。名古屋大学は、愛知県、産業界、他大学等と連携して、愛知県の「知の拠点」計画内にシンクロトロン光施設を建設する計画を進めてきました。この中部シンクロトロン光利用施設は、平成24年度中の供用開始を目指して、今まさに建設中です。本講演では、施設の概要、建設状況、予定されている利用実験について紹介します。
古橋 武教授(工学研究科)
大量の文書の概要を把握しやすくする技術を紹介します。文章のキーワード間の関係をネットワークにして可視化し、文書の流れ、要点、枝葉を視覚的につかみやすくします。本技術は、テキストデータであれば、書籍、書類、ネットデータなど多くの対象に適用できます。データ解析プラットフォーム上でのデモも紹介します。
藤井 俊彰准教授(工学研究科)
自由視点テレビ(Free-viewpoint TV、FTV)は、ユーザがあたかもその場にいるかのように、視点を自由に変えて3次元シーンを見ることができる、究極の3次元テレビです。無限個の視点を持つFTVは、極めて高いセンシングや表現の能力を持ち、世界の映像情報メディアの頂点に立ちます。私たちはFTVを提唱し、撮影から表示までの全てをリアルタイムで行うFTVシステムを世界に先駆けて構築しました。また、ノートPCや携帯端末での自由視点画像生成や自由聴点の実装にも成功しています。2001年にFTVをMPEGに提案し、その国際標準化を推進しています。FTVの第1フェーズであるMVC(Multi-view Video Coding)は2009年に成立し、ブルーレイ3Dに採用されました。2007年より、FTVの第2フェーズとして、多眼3次元ディスプレイに表示する3DV(3D Video)技術の標準化を進めています。2011年3月に3DV のCall for Proposalsを発行し、現在提案募集を行っています。
中里 和郎教授(工学研究科)
化学集積素子とは、半導体チップ上に化学反応を集積する smart laboratory on a chip と、化学素子を集積回路の構成部品として用いる新機能デバイス、の2つの意味が込められています。背景として、物質化学と半導体工学は素子サイズにおいて現在クロスしており、両者の技術を統合することが可能になっています。
本講演では、半導体チップによる電気化学計測とそのDNAシーケンサ・医療検査装置への応用、再構成生体分子-機能分子-シリコン ハイブリッドデバイスとその高感度撮像素子への応用について紹介します。
浅井 一輝(工学研究科)
スラリー中粒子集合状態を評価するために、サブミクロン・ミクロン粒子では静水圧を測定する方法を、ナノ粒子では浸透圧を測定するスラリー特性評価方法を開発しました。簡便・安価な装置で効果的に評価することができます。
螺旋案内付き芯棒を挿入したセラミックフィルターで、良分散状態に調製したスラリーをクロスフローろ過することで、フィルタープレスよりもケタ違いに少ない消費電力で高濃縮を達成できる濃縮装置を開発しました。また、スラリーに電場を作用させることで凝集剤を使用せずにケミカルフリーで粒子を造粒する方法を開発しました。