シーズNo. 97

平成16年度「産学官共同研究開発技術シーズ調査票」

 

 研究開発テーマ

   (シーズ)

マルチホップ無線ネットワークにおける複数経路ダイバシチ合成手法

 

技術分野(該当分野に○印を付け別表の該当番号を記入。複数の場合は主なものに◎

研究段階(該当に○

〔 〕材料(No  )、 〔 〕バイオテクノロジー(No  )、 〔○〕情報通信(No19

〔 〕機械(No  )、 〔 〕 医療・福祉(No  )、 〔 〕 エネルギー(No  )

〔 〕環境(No  )、 〔 〕 その他(No  )

 基礎          応用

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーワード(5つ以内)

マルチホップ無線ネットワーク,ダイバシチ合成,無線LAN

 

提案者職名・氏名

所属機関名(機関名・学部・研究室名)

助手・岡田 啓

名古屋大学 エコトピア科学研究機構 情報メディア教育センター

 電 話

052-789-2743

 mail

okada@media.nagoya-u.ac.jp

 FAX

052-789-3173

 ホームページ

http://www.katayama.nuee.nagoya-u.ac.jp

[研究成果があり、公開可能な技術シーズ]

 研究開発の目的

(研究の目的、最終的な事業化分野)

マルチホップ無線ネットワークは,複数の無線ノードと直接通信可能な無線ノード間を接続する無線リンクから構成される無線ネットワークである.ネットワークの任意の2つの無線ノードは,直接通信可能でない場合でも,他の無線ノードを経由することで情報の伝達が行える.このようなマルチホップ無線ネットワークは,現在,次世代の移動体通信ネットワークや無線LANへの適用が検討されている.

マルチホップ無線ネットワークでは,無線ノード間に複数の経路を構築することが可能である.それぞれの経路は独立にフェージング等の外乱を受けるため,複数の経路から送られて来たパケットを合成することでダイバーシチ効果を得ることができ,性能の向上を期待できる.しかし,無線ネットワークを経由して届いたパケットは各基地局で再生中継されたものであり,言わば硬判定された信号に対してダイバシチ合成を行わなければならない.そこで,本研究開発では硬判定に基づく誤り訂正技術や繰り返し復号可能なダイバシチ合成の原理を使うことで,複数経路ダイバシチ合成法の確立を目指す.

研究開発の内容(概要)

(研究の内容・課題等を具体的に、必要に応じ資料を添付してください)

 本手法では,複数の経路があるマルチホップ無線ネットワークの一部あるいはすべての経路を通じてデータを送信し,それらの経路を経て到着したデータをダイバシチ合成・復号することで,特性の向上を図るデータ送信・受信装置である.

送信元ノードでは,従来技術と同様に通信路符号化し,変調を行う.そして複数経路に対して信号を送信する.中継ノードでは再生中継が行われる.宛先ノードにおける受信ノードでは,復調し硬判定された後,信頼性情報算出器においてダイバシチ合成を行い,信頼性情報を求める.復号器においてその信頼性情報に基づき誤り訂正が行われる.本手法により,ビット誤り率を低くおさえ,その信頼性を増すことが可能となる.

 今後,実用化に向けて解決が必要な問題点としては,複数経路を構築するためのルーティング・プロトコルの開発等が挙げられる.

 新規性、独創性

(当該シーズの新規性・独創性・優位性等を具体的に)

 マルチホップ無線ネットワークを利用した複数経路ダイバシチ合成法は,ネットワークレベルでのダイバシチ合成というこれまでの無線通信路におけるダイバシチ合成とまったく異なった概念であり,革新的であると言える.これを硬判定に基づく誤り訂正技術や繰り返し復号可能なダイバシチ合成の原理を使うことで,実現することができる点に新規性がある.

地域経済への波及効果

(本研究によって期待される成果・効果、地域への貢献、産業界へのインパクト等)

マルチホップ無線ネットワークは,第4世代,第5世代移動体通信システムの実用化を目指して研究・開発が進められており,伝送速度の高速化を図ることができる.これは,携帯端末の高度化,多機能化を進めることになり,無線ネットワークを流れるコンテンツの多様化,大容量化に大きく寄与することになる.さらに,基地局の設置の自由度は非常に高く,臨時的に基地局を設置したり,電車等の移動体に設置することも可能であり,これまでにはないセルの配置が可能となる.

 この他にもマルチホップ無線ネットワークはある特定の範囲だけで使用することも可能である.そのため,例えば駅構内や公共施設,マンションなどといった様々な場所での無線LAN構築に利用可能である.この際,マルチホップ無線ネットワークを使うことで,インフラ整備のコストを削減できると予測できる.

以上のことより,本研究開発によって,マルチホップ無線ネットワークの性能を向上させることができれば,携帯端末や無線LANの新しい利用法,新しい役割が見出される可能性は十分に考えられ,高度情報通信社会に新たな風を吹き込むことさえ期待できる.

 実用化への見通し

(共同研究の相手となる企業・業界、実用化までの期間等)

 本研究開発は今後の移動体通信システムや駅構内や,公共施設,マンションなどといった様々な場所での無線LANへの利用を想定している.そのため,共同研究の相手方としてはこれらの実用化に興味を持たれている業界やこのような技術をお持ちの企業を希望する.

 なお,本研究開発は総務省 戦略的情報通信開発推進制度による委託研究の一環として進めている.

 関  連

工業所有権

  発明(考案)等の名称

    発明者

   出願人

  外国出願

マルチホップ無線ネットワークシステム

岡田啓,山里敬也,片山正昭,鯉江尚央,中川信之

独立行政法人科学技術振興機構

  〔 〕有

  〔○〕無

 注意事項: @ 記入事項が多い場合は、縦方向に枠の大きさを広げて下さい。

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         すので非公開情報の欄は「非公開」とのみ御記入下さい。