シーズa@57 

平成16年度「産学官共同研究開発技術シーズ調査票」

 

 研究開発テーマ

   (シーズ)

ケミカルプロセスによる機能性セラミックス薄膜(コーティング)の作製と評価

 

技術分野(該当分野に○印を付け別表の該当番号を記入。複数の場合は主なものに◎

研究段階(該当に○

〔○〕材料(No02,04)、 〔 〕バイオテクノロジー(No  )、 〔 〕情報通信(No  )

〔 〕機械(No  )、 〔 〕 医療・福祉(No  )、 〔 〕 エネルギー(No  )

〔 〕環境(No  )、 〔 〕 その他(No  )

 基礎          応用

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーワード(5つ以内)

機能性セラミックス材料、薄膜、ケミカルプロセッシング

 

提案者職名・氏名

所属機関名(学部・研究室名)

助教授・坂本 渉

名古屋大学エコトピア科学研究機構 ナノマテリアル科学研究部門

 電 話

052-789-2751

 E– mail

sakamoto@esi.nagoya-u.ac.jp

 FAX

052-789-2133

 ホームページ

http://www.cirse.nagoya-u.ac.jp

 

 研究開発の目的

(研究の目的、最終的な事業化分野)

 本研究では、化学溶液プロセスにより、種々の機能性セラミックス材料の薄膜を合成し、合成した薄膜が発現する特性を評価することを目的とする。望む機能を有する薄膜を合成するために、溶液中の反応による化学結合を制御した前駆体構造の設計、適切な基板の選択、コーティング条件および結晶化条件など合成条件の最適化を行う。また、薄膜の特性はその配向性によっても制御できるため、薄膜と基板との複合体として、従来のバルクのセラミックス材料とは異なる特性の発現が期待できる。したがって本研究により、従来の酸化物混合法あるいは融液法と比較して、(1)高均質な目的化合物を得る(2)合成温度を大幅に低下させることを可能にする(3)組成制御により得られる薄膜の特性を多様化する(4)配向制御をも駆使して各材料の有する所望の特性を発現させることを目標とし、情報通信分野を中心とした様々な分野での新機能デバイスの創製および新規薄膜コーティングの開発を目指す。

研究開発の内容(概要)

(研究の内容・課題等を具体的に、必要に応じ資料を添付してください)

 本研究では薄膜の合成法として、提案者がこれまでに精力的に研究している高均質かつ高純度、組成の制御が容易、目的化合物の低温合成が可能、薄膜・ファイバなど形状の付与が容易、製造装置が簡便であり安価という特長を有する主に金属-有機化合物を原料として用いる化学溶液法を採用している。ここでは、適切な金属-有機化合物原料および溶媒を選択することにより、溶液中で各金属-有機化合物を分子レベルで均一に分散し、反応を制御して複合金属-有機化合物前駆体を生成させ、その構造を制御することにより薄膜合成を行う。また、適切な基板構造の選定および加熱処理条件の最適化により、基板の原子配列を利用して有機成分除去後の非晶質状態から目的とする結晶相へ結晶化させ、かつ目的化合物の有するねらいの特性を発現させるため、結晶成長の方向(結晶面方位)を制御可能にすることも行う。以上、合成プロセスを確立した上で得られた薄膜について発現する特性の評価を正しく行い、その特性に影響を及ぼす因子を明らかにする。

 新規性、独創性

(当該シーズの新規性・独創性・優位性等を具体的に)

 種々の機能を有するセラミックス材料は、構成元素の組み合わせにより発現する特性を広範囲に応用できるため非常に魅力的である。しかし、狭い組成領域で優れた性質を示したり、種々の組成でねらいとする特性が異なるために化学組成の制御が非常に重要である。当該研究分野の研究の現状は、固相反応法による多結晶セラミックスの合成あるいは融液法による単結晶育成が主流である。しかしこれらの方法は、合成に高温を必要とし、かつ構成元素が多くなるにつれて組成の制御が困難になるという問題点を有している。機能性材料の薄膜化実現のためには、目的化合物の低温合成が必須となり、発現する特性の制御には組成の精密な制御が必要となる。そのため、提案者が研究を続けている方法のような化学的な手法による薄膜合成の注目度は高い。本研究では、分子レベルでの反応制御による金属-有機化合物前駆体構造の制御、これを用いて合成した薄膜の結晶構造解析、結晶の成長方向の制御および発現する特性の評価を融合した合成プロセスの構築に主眼をおいている。

地域経済への波及効果

(本研究によって期待される成果・効果、地域への貢献、産業界へのインパクト等)

本研究により、結晶構造および配向性を制御した種々の機能を有するセラミック材料薄膜の合成法を確立し、特性の評価も正しく行って発現する特性を明らかにする。合成した薄膜は、例えば強誘電体材料の場合には、圧電性・焦電性などの性質を利用したSAWフィルタ・赤外線センサばかりでなく、高い透光性を有するものも合成可能であり、光スイッチなど光関連素子への応用も可能である。このようにして、様々な応用を目的とした光機能膜、電子機能膜、化学機能膜および生体機能膜の合成を可能にする。

 本研究の方法は、作製条件をうまくコントロールできれば対象とする材料の範囲は極めて広いため、半導体デバイスおよびディスプレイデバイスなどを扱う電機業界をはじめとして、その他簡便な装置による低コストなコーティングおよび表面処理を必要とする幅広い業界に対応できる普遍性がありインパクトも大きい。

 実用化への見通し

(共同研究の相手となる企業・業界、実用化までの期間等)

 本研究の成果は、電機業界、自動車業界、金属鉄鋼業界、医薬品業界、その他簡便な装置による低コストなコーティングおよび表面処理を必要とする幅広い業界での実用化が期待できる。また実用化については、対象となる材料にもよるが、1〜2年間ぐらいの研究期間と工業的な規模での試作業務が必要となる。工業製品としての実用化は、現在もなお明らかになっていないプロセス因子についてさらに研究を進め、製造時の再現性を向上させるためのさらなるプロセス因子の解明が鍵となる。

 関  連

工業所有権

  発明(考案)等の名称

    発明者

   出願人

  外国出願

 

 

 

  〔 〕有

  〔 〕無