シーズNo.150 

平成16年度「産学官共同研究開発技術シーズ調査票」

 

研究開発テーマ(シーズ)

  交通エコポイントシステムに関する研究開発

 

技術分野(該当分野に○印を付け別表の該当番号を記入。複数の場合は主なものに◎。

研究段階(該当に○)

〔 〕材料(No  )、 〔 〕バイオテクノロジー(No  )、 〔○〕情報通信(No19)

〔 〕機械(No  )、 〔 〕医療・福祉 (No  )、 〔 〕エネルギー (No  )

〔○〕環境(No38)、 〔◎〕その他   (No42)

  基礎        応用

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーワード(5つ以内)

 

 

提案者職名・氏名

所属機関名(機関名・学部・研究室名)

教授・森川高行

助教授・山本俊行

名古屋大学大学院環境学研究科 都市環境学専攻 森川研究室

名古屋大学大学院工学研究科 社会基盤工学専攻 社会基盤工学分野 社会基盤環境学研究グループ(山本研究室)

 電 話

052-789-3564

 e-mail

morikawa@civil.nagoya-u.ac.jp

 FAX

052-789-3738

 ホームページ

http://www.trans.civil.nagoya-u.ac.jp/

 

[研究成果があり、公開可能な技術シーズ]

 研究開発の目的

(研究の目的、最終的な事業化分野)

「交通エコポイントシステム」とは,交通渋滞の激しい都心部へ公共交通を利用して来訪すると電子的なポイントが与えられ,蓄積されたエコポイントにより公共交通機関の割引などの特典が得られるシステムである.「エコ」という社会貢献的な行動動機に,ポイントシステムの「お得さと楽しさ」を加えることにより,自動車から公共交通利用への自発的な転換,ひいては環境配慮型の行動への「囲い込み」が期待できるシステムである.本研究開発では,この「交通エコポイントシステム」を実現するために必要となるインフラの開発,産学官民連携による運営組織づくり,システム導入による道路交通渋滞の緩和やCO2排出量削減効果の定量的分析,などからなる一連のシステム開発を行うものである.

研究開発の内容(概要)

(研究の内容・課題等を具体的に、必要に応じ資料を添付してください)

@ポイントの受け渡しを行うインフラの開発,Aビジネスモデルの構築,BITS世界会議と愛・地球博での産学官民連携による社会実験の実施と評価,C交通エコポイントシステムの効果予測・事後評価ツールの開発,D他のTDM施策と組み合わせたパッケージ政策に対するフィージビリティ・スタディー,を行う.@では,ポイントの受け渡しを行う携帯電話やICチップを利用した端末デバイス,駅構内に設置しユーザー認証や公共交通利用区間の特定を行う中継機器,個人情報やポイントの管理を行うセンターシステム,等からなるインフラの開発を行う.Aでは,割引のための原資を拠出するために,商店街や交通事業者,CRS(Corporate Social Responsibility)に配慮した企業との連携によるコストシェア,あるいはロードプライシングなどのペナルティ型TDM施策からの賦課金の利用などを模索し,ビジネスモデルとしての成否を検討する.Bでは,産学官民協働による2度の社会実験を通じて運営組織の基盤づくりを行うと同時に,特に交通施策実施における民の代表としてのNPOのあり方や有効性の検証を行う.Cでは,交通エコポイントシステムがもたらす道路交通渋滞の緩和やCO2排出量削減効果などについて,社会的な評価を行うと共に,各利用者の貢献度合いを可視化するツールを開発する.Dでは,駐車デポジット制度やP&R(パーク&ライド),カーシェアリングなどの他の交通・環境政策との連携を検討し,望ましい施策パッケージの提案や,エコポイントシステムの普及,ユーザビリティの向上を図る.

 新規性、独創性

(当該シーズの新規性・独創性・優位性等を具体的に)

交通エコポイントシステムは,エコマネーシステムの対象地域を広域にした上で交通に特化させ,ITを用いてポイント制にしたものである.また,公共交通利用への動機付けを少ない公的資金の導入と環境改善効果を可視化するシステムとして,世界で類をみないものである.また,P&Rやロードプライシングなどの「痛み」や「利便性の低下」を引き起こす従来型の施策と異なり,ポイント制度による特典というインセンティブを与えることにより,自発的な行動・意識変化やシステムの普及が期待できるシステムである.本研究開発では,2度の社会実験を産学官民の連携で行うが,これまで交通政策実施においてNPOの関与は少なく,その有効性の検証は行われてこなかった.ここで得られた知見を基に,今後の交通,環境施策において住民主体型で施策の実施を行う際のNPOとの連携のあり方を提案することができる.

地域経済への波及効果

(本研究によって期待される成果・効果、地域への貢献、産業界へのインパクト等)

交通エコポイントシステムと共に,既存の公共交通機関の利用促進のためのP&Rシステムや,駐車デポジット制度等をTDM政策のパッケージ化することにより,個々人の利便性や経済発展を妨げることなく都心部への自動車流入を抑制することが可能であり,環境負荷低減効果や渋滞損失の削減など,それぞれの施策の相乗効果が期待できる.さらに,このようなTDM施策のパッケージ化はTODTravel Oriented Developmentを促し,中心市街地の有効利用や活性化にもつながるものと期待される.

 実用化への見通し

(共同研究の相手となる企業・業界、実用化までの期間等)

200410月に名古屋にて開催されるITS世界会議でのテクニカルツアーのつとして交通エコポイントシステムの社会実験が行われる.また,20053月より6ヶ月間開催される愛知万博においても交通エコポイントシステムの拡大社会実験を行う.これらの2度の社会実験を踏まえてシステム改良等を行い2006年度以降早期の本格的実施を目標としている.当研究室は,これまで都市計画,交通計画分野における計画手法論に関する研究を中心に行ってきたため,特に研究開発内容の@について,民間企業との連携を希望している.また,当該研究課題は産学官民の連携を前提としているため,IT分野の企業以外にも,様々な主体との広範な連携を行っていきたいと考えている.

 関  連

産業財産権

  発明(考案)等の名称

    発明者

   出願人

  外国出願

 

 

 

  〔 〕有

  〔○〕無