シーズNo.148 

平成16年度「産学官共同研究開発技術シーズ調査票」

 

 研究開発テーマ

   (シーズ)

インフレータブル構造形態形成数値計算方法

 

 

技術分野(該当分野に○印を付け別表の該当番号を記入。複数の場合は主なものに◎。

研究段階(該当に○)

〔 〕材料(No  )、 〔 〕バイオテクノロジー(No  )、 〔 〕情報通信(No  )

〔 〕機械(No  )、 〔 〕医療・福祉 (No  )、 〔 〕エネルギー (No  )

〔 〕環境(No  )、 〔○〕その他   (No42)

  基礎        応用

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーワード(5つ以内)

インフレータブル構造、展開シミュレーション、皺、数値計算方法

 

提案者職名・氏名

所属機関名(機関名・学部・研究室名)

教授・梅村 章

名古屋大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻

 

推進エネルギーシステム工学研究グループ

 電 話

052-789-4404

 e-mail

akira@nuae.nagoya-u.ac.jp

 FAX

052-789-3280

 ホームページ

http://ume5.nuae.nagoya-u.ac.jp

 

[研究成果があり、公開可能な技術シーズ]

 研究開発の目的

(研究の目的、最終的な事業化分野)

本技術は、元々パラグライダーのキャノピーの翼形成特性を明らかにするための研究の数値的アプローチの基礎として考案したものであるが、他にも用途が幅広く存在するように思われるので特許を申請した。本技術を発展させ、産業界での実用化を図っていくためには、種々の問題に応用して有用性をデモンストレートしていくことが大切であると考えている。それも、既に技術が確立されている対象ではなく、未来の技術を見据えた夢のある対象にして実施していくのが面白く、例えば、宇宙太陽発電システム用アンテナ、パラグライダーを利用した宇宙ステーションからの緊急帰還機、他惑星着陸用エアバッグなど、地上での試験が難しい環境で使用される固有のインフレータブ構造物の展開過程を正確にシミュレートするソフトを開発していくことによって、最終的に広範な用途にこたえるソフトを完成していきたいと考えている。

研究開発の内容(概要)

(研究の内容・課題等を具体的に、必要に応じ資料を添付してください)

 本技術は、袋状の膜の内部にガスを流入させて膨らまし構造物を作るインフレータブル構造(膜に働く張力と外力の釣り合いによって形状を維持する構造:軽量、高収納性、展開に機械的な機構を必要としない利点を活かしてパラグライダー、気球、エアバッグ、ドーム建築、宇宙展開構造などに応用されている)の形態形成過程を新しい膜の理論に基づいてシミュレーションする数値計算方法を与えるものである。本技術によれば、種々のインフレータブル構造物に対して、しぼんだ状態(収納状態)から膨らんだ状態への展開の様子を数値的に模擬でき、所望のインフレータブル構造物を形成するのに必要な膜の原型や収納方法などについて試行錯誤的を重ねずに知ることができ、設計制作費用の大幅な節約がはかれるようになる。既存の流体力学計算ソフトや図形処理ソフトなどと組み合わせて、具体的な対象物に特有な設計ツールとしてのソフトパッケージを開発していくことが、今後の課題である。

 新規性、独創性

(当該シーズの新規性・独創性・優位性等を具体的に)

従来の弾性学の膜理論に準拠した有限要素法による数値計算方法では、(1)しぼんだ状態から計算を開始できない(2)皺をうまく表現することが難しい(3)最終形態に近い膜形態から計算を開始しなければいけないので、局所的な皺の発生によって、全体の形態に大きな変化が起きるような場合を取り扱えないなどといった困難点がある。本技術によれば、これらの困難点が解消でき、下記のような利点がある。

(1)弾性学で取り扱いが困難な非伸縮性の膜の変形や皺の寄りが簡単に計算できる。

(2)任意の膜形態から計算を出発できるので、収納状態からの展開シミュレーションによって、適切な膜のデザインが可能になる。

(4)膜素材の特性を容易に組み込める。

(3)既存の流体力学計算や図形処理のソフト等と組み合わせて、袋状の膜だけでなく、風の中ではためく旗のような動きまで含めて、多様な問題に応用できる。

地域経済への波及効果

(本研究によって期待される成果・効果、地域への貢献、産業界へのインパクト等)

 東海地域は航空宇宙・自動車・機械産業の本場であり、インフレータブ構造を利用した新しい技術の開発は、将来のさらなる発展につながるものと考えている。具体的には、未来のエネルギーインフラとしての宇宙太陽発電システム用、パラグライダーを利用した無人・有人飛翔体システム、衝撃緩衝エアバッグや医療用マイクロバルーンなどの開発への本技術の適用は、開発コストの削減のみならず、関連した新規技術の発見に大いに威力を発揮するものと思っている。

 実用化への見通し

(共同研究の相手となる企業・業界、実用化までの期間等)

シミュレータは誰でも簡単に使えるソフトパッケージの形にまでもっていかないと、一般の利用は難しいと思っている。そのため、個々の具体的なインフレータブル構物に対して、この作業を進めていこうと考えている。対象にするインフレータブル構造に固有な機能を付加したシミュレータを開発し、それを一般の利用に供することのできるソフトにまで仕上げていくことによって、計算能力の拡張を順次行っていくことができる。従って、将来性のあるインフレータブル構造を扱っている企業およびソフトパッケージ化のためのノウハウを持ち合わせている計算ソフト会社と連携して、この作業をおこなっていくことができれば理想的であると思っている。

 関  連

産業財産権

  発明(考案)等の名称

    発明者

   出願人

  外国出願

インフレータブル構造形態計算方法、計算プログラム及び計算プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

梅村章・加藤基

独立行政法人科学技術振興機構(JST)

  〔○〕有

  〔 〕無