化学の領域の広がり、化学技術の進歩につれて化学の分野も細分化され内容も高度になっています。
講義や実験を通じて学んでいく中で、最も重要なのは応用力と創造性を身につけることです。化学の場合にはそれは実験への取り組み方が鍵を握っていると言えます。
化学の面白さは、何といってもフラスコの中の不思議にあります。石油がこれほど多くの「もの」に化けることを、またガスからダイヤモンドができることを予想した人が、わずか60年前にどれほどいたでしょう。これらはいずれも実験室の基礎実験からはじまったのです。化学はフラスコの中の反応から新しい「もの」(素材)が生まれる可能性を常に秘めています。
一方、新しい時代の化学は「もの」作りばかりに捉えられてはいられません。調和が取れた人類の福祉と反映のためには、エネルギー問題、環境問題などの応用問題に、君たちのような若い化学者たちがどんどん参加し、解決していかなければなりません。
君たちの身の回りには化学物質にあふれています。衣服、プラスチック、電化製品などの汎用製品をはじめ、コンピュータ、スペースシャトル、超電導体、医薬、人工心臓などの生体材料などあらゆる科学技術の最先端分野で化学者の英知が結集された有機・無機材料が使われています。
私たちはもちろん知っています。私たちの目の前に様々の問題、食糧、環境、エネルギー問題が横たわっているのを。これらを解決し、さらに輝く未来を築くためにこそ、君たちの若々しい創造力が必要です。さあ、私たちとともにチャレンジしましょう!
私は応用化学の大学院の修士課程を出て、現在自動車関連会社で自動車排気ガス浄化用触媒の研究・開発に携わっています。地球温暖化の原因である二酸化炭素の低減のために、新しい自動車エンジンが実用化され始めていますが、そのエンジンには浄化システムが必要であり、触媒がそのなかで重要な役割を果たしています。自分はまさに化学を通じて地球環境保全に貢献していると考えています。触媒も長くつきあっていると、まるで生き物のように感じられます。みなさんも多くの人が化学のおもしろさを感じてくれることを望んでいます。
化学関連の諸企業はもとより、あらゆる産業界で広く活躍しています。さらに、大学や国公立の研究機関で研究者として活躍している卒業生も数多く輩出しています。最近の傾向では、新素材の開発・応用がさかんであることを反映して、就職先は化学関連の企業に加え、エレクトロニクス、自動車、精密機械、情報・通信関連などへ広がっています。また、海外に派遣され、技術指導、共同研究で国際的に活躍する卒業生も年毎に増えています。
<化学>三菱化学、住友化学、三井化学、旭化成、帝人、東レ、クラレ、富士フイルム、花王、大日本インキ、ブリジストン、資生堂、旭硝子、JSR、東亜合成、信越化学工業、ノリタケカンパニーリミテッド、 INAX、ダイセル化学工業、積水化学工業
<輸送用機器関連>トヨタ自動車、スズキ、デンソー、アイシン精機
<電気機器>松下電器産業、ソニー、東芝、NEC、日立製作所、シャープ、キャノン、ローム、セイコーエプソン、ブラザー工業
<医療精密機器、食品、その他>テルモ、ニプロ、味の素、キリンビール、武田薬品工業、明治乳業、日本たばこ産業
<大学・研究機関>名古屋大学、東京大学、北海道大学、豊田中央研究所
<公務員>愛知県、名古屋市、岐阜市、豊橋市